舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう
「・・・はぁ?俺のとこでそのガキを預かってほしい?」
「す、すまんとは思っとるんじゃ・・・ただ本当ならワシがこの子を預かる予定だったんじゃが、ちょっとワシの都合が悪くなっての・・・だから毛利君にこの子を預かってもらいたいんじゃ・・・」
「お願いおじさん、僕いい子にするから!」
・・・そうして阿笠からどうして小五郎の元に来たのかの説明が終わり、胡散臭げな顔と声で返され阿笠が言葉に詰まる様子に子どもが子どもらしく活発な声で見上げるように頼み込んでくるのだが・・・そんな中で説明に入り込むまいと小五郎の後ろに控えていた荒垣が前に出て、子どもの前に立つ。
「な、何お兄さん・・・?」
「・・・話を聞く限りじゃお前は工藤家の親戚で名前は江戸川コナン、だったか?」
「う、うんそうだけど・・・」
「それで親が都合が良くないから工藤家に預けようとしたが、今は海外暮らしだから工藤家に預ける事は出来ずにそこから阿笠さんの所に預けるようにって話になってたんだよな?」
「そ、そうだけど・・・」
「・・・筋が通らねぇな」
「えっ・・・?」
そんな荒垣に子ども・・・いや、名前を確認されたコナンは見下ろされながら動揺しつつ答えを返していくが、気に食わなさそうに漏らす声に不安げな声を漏らす。
「荒垣さん、筋が通らないって何がですか?」
「単純な話としてこんな年齢のガキを預ける先もそうだが、博士が自分が都合が悪いと言ったことがだ。百歩譲って親類だという工藤家に預けるってんなら分からなくはねぇが、今は工藤一人で未成年しかいねぇあの家にこんなガキを預けるわけにはいかねぇと考えるのはまだ分かる・・・だがそこで工藤家に近いからとか前から交流があるからと言っても近所付き合いが精々の親類でもない博士に子どもを預けるって判断したこともだが、そんな博士が預けられた後に都合が悪いって言い出すのが筋が通らねぇって思ったんだよ。自分の都合で駄目だってんなら親達にその場で断るのが普通だろうし、仮に急に駄目になるような何かがあるなら毛利さんに代わりに頼むってんじゃなく自分は駄目だから他を当たってくれって引き取りに来てもらうなりして、改めて断るのが普通だろうってな」
「「っ!?」」
「あ~・・・確かにそう言われると博士がこの子どもを受け入れるまでならその人達との間の事だからともかく、都合が悪くなったからで真っ先に博士がこの子どもを代わりに預かってくれっておじ様に頼みに来るのはおかしいですね・・・」
蘭がその言葉の意図は何かと静かに問い掛けるのだが、荒垣がそう思った理由を語っていくと阿笠とコナンは揃って息を盛大に呑み、園子もその中身に納得して頷いていった。普通ならこうするべきとの言葉達に否定する要素がないと。
「・・・確かにそう聞くと荒垣の言う通りだし、その子どもをここで預からなきゃならねー理由は俺にはねーな。つー訳で博士が俺にそう頼みに来たことに関しちゃ聞かなかったことにしとくから、もう博士はそいつを連れ帰ってくれ。いくら用があるから預かるのは無理だっつったって、今日寝る場所に両親に連絡するくらいの時間くらいはこの後に取れるだろ」
「い、いや・・・そ、それはその・・・」
そこに小五郎も加わると共に呆れたような目を浮かべつつさっさと帰るように言うのだが、阿笠は困ったような様子を浮かべながらも引きたくないといったようにまごまごとした声を漏らしている。そんな姿にコナンはそっと子どもらしからぬ表情でギリリと強く歯噛みをしていたのだが、そんな姿を一人冷めたような瞳で見下ろす荒垣の顔があったことにコナンは気付いていなかった。
・・・そうして阿笠とコナンはうまい言葉など結局出てくることはなく、その後すぐに小五郎達の元を後にすることになった。
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「す、すまんとは思っとるんじゃ・・・ただ本当ならワシがこの子を預かる予定だったんじゃが、ちょっとワシの都合が悪くなっての・・・だから毛利君にこの子を預かってもらいたいんじゃ・・・」
「お願いおじさん、僕いい子にするから!」
・・・そうして阿笠からどうして小五郎の元に来たのかの説明が終わり、胡散臭げな顔と声で返され阿笠が言葉に詰まる様子に子どもが子どもらしく活発な声で見上げるように頼み込んでくるのだが・・・そんな中で説明に入り込むまいと小五郎の後ろに控えていた荒垣が前に出て、子どもの前に立つ。
「な、何お兄さん・・・?」
「・・・話を聞く限りじゃお前は工藤家の親戚で名前は江戸川コナン、だったか?」
「う、うんそうだけど・・・」
「それで親が都合が良くないから工藤家に預けようとしたが、今は海外暮らしだから工藤家に預ける事は出来ずにそこから阿笠さんの所に預けるようにって話になってたんだよな?」
「そ、そうだけど・・・」
「・・・筋が通らねぇな」
「えっ・・・?」
そんな荒垣に子ども・・・いや、名前を確認されたコナンは見下ろされながら動揺しつつ答えを返していくが、気に食わなさそうに漏らす声に不安げな声を漏らす。
「荒垣さん、筋が通らないって何がですか?」
「単純な話としてこんな年齢のガキを預ける先もそうだが、博士が自分が都合が悪いと言ったことがだ。百歩譲って親類だという工藤家に預けるってんなら分からなくはねぇが、今は工藤一人で未成年しかいねぇあの家にこんなガキを預けるわけにはいかねぇと考えるのはまだ分かる・・・だがそこで工藤家に近いからとか前から交流があるからと言っても近所付き合いが精々の親類でもない博士に子どもを預けるって判断したこともだが、そんな博士が預けられた後に都合が悪いって言い出すのが筋が通らねぇって思ったんだよ。自分の都合で駄目だってんなら親達にその場で断るのが普通だろうし、仮に急に駄目になるような何かがあるなら毛利さんに代わりに頼むってんじゃなく自分は駄目だから他を当たってくれって引き取りに来てもらうなりして、改めて断るのが普通だろうってな」
「「っ!?」」
「あ~・・・確かにそう言われると博士がこの子どもを受け入れるまでならその人達との間の事だからともかく、都合が悪くなったからで真っ先に博士がこの子どもを代わりに預かってくれっておじ様に頼みに来るのはおかしいですね・・・」
蘭がその言葉の意図は何かと静かに問い掛けるのだが、荒垣がそう思った理由を語っていくと阿笠とコナンは揃って息を盛大に呑み、園子もその中身に納得して頷いていった。普通ならこうするべきとの言葉達に否定する要素がないと。
「・・・確かにそう聞くと荒垣の言う通りだし、その子どもをここで預からなきゃならねー理由は俺にはねーな。つー訳で博士が俺にそう頼みに来たことに関しちゃ聞かなかったことにしとくから、もう博士はそいつを連れ帰ってくれ。いくら用があるから預かるのは無理だっつったって、今日寝る場所に両親に連絡するくらいの時間くらいはこの後に取れるだろ」
「い、いや・・・そ、それはその・・・」
そこに小五郎も加わると共に呆れたような目を浮かべつつさっさと帰るように言うのだが、阿笠は困ったような様子を浮かべながらも引きたくないといったようにまごまごとした声を漏らしている。そんな姿にコナンはそっと子どもらしからぬ表情でギリリと強く歯噛みをしていたのだが、そんな姿を一人冷めたような瞳で見下ろす荒垣の顔があったことにコナンは気付いていなかった。
・・・そうして阿笠とコナンはうまい言葉など結局出てくることはなく、その後すぐに小五郎達の元を後にすることになった。
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