舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

「でもどうするの?新一君の性格的にそんなこと言われたからはい蘭の事を諦めますなんてあっさり言える程、諦めなんか良くないわよ新一君は」
「その辺りは学校で会うのは仕方無いにしても、デートをしたいとか付き合って欲しいみたいに言われたらキッパリお断りって言わせてもらうわ。園子が言うように新一が本当に私の事を好きなのかに関しては私は自覚はないけど、そんなことを言われたら・・・私には別に好きな人がいるっていうか、自覚出来たからって言うから」
「・・・それって、荒垣さんのこと?」
「・・・うん」
ただと園子が以降どうするのかと聞くのだが、新一に対してはキッパリと対応するのに対して別の好きな人との言葉を口にする際に照れが入った蘭に確かめるように荒垣のことかと問い掛ければ、恥ずかしげに頷き返した。園子はそんな様子に満足げにウンウンと頷く。
「そっか~・・・荒垣さんなら納得だわ。というかむしろ今までの事を考えると荒垣さんしかいないわよね。近い男の人で蘭がいいって思えそうな人って」
「うん・・・新一の事をどうかって思うようになったきっかけをくれたし、新一と色々と違う面を見てきて荒垣さんのことがいいなって思ってきたの。でもまだ昨日までは新一に対する気持ちがあったから荒垣さんに何も言わずにいたけど、もう昨日の事で新一とはちゃんと付き合ってないから別れるって言うとちょっと違うけど・・・そう、区切りをつけた上で荒垣さんと向き合いたいって思うの。荒垣さんが私の事をどう思ってるか分からないけれど、もう事件や自分の事が気になる新一より荒垣さんのことが好きだって思えるから・・・!」
「うん、それがいいよ蘭!だから次新一君に会ったら区切りの言葉を言うべきよ!どうせ新一君の事だから嫌だとか何だとかでごねるだろうからその時は私も一緒にいてあげるから!」
「ありがとう、園子」
そのまま園子が文句はないといったようにテンションを上げていって自分も手助けするというように言っていき、蘭も言葉選びに少し考えはするものの迷わないといった旨を返した。新一に対しての態度はハッキリともう迷うつもりはどちらもないというよう・・・


















・・・そうして少し話をした後に次に新一に出会った時にそういった話をしようと二人は言って解散とするのだが・・・三日程の時間が経っても新一の顔を見ることも無かったことどころか、連絡すらしてこないことに蘭も園子もどういうことかと首を傾げた。だがそういったように疑問に思いはしても、なら新一の元に行って手早く話をしようという話にはならなかった。

これは新一の事だから何かまた厄介な事件に首を突っ込んだ辺りで時間を取っているんだろうと見たのもあるが、ここでわざわざそこまでするのも良くないと二人で話し合ったからである・・・区切りをつけた方がいいと言ったのは確かではあるが、だからと言って直接会いに行ってまでというのは正式に付き合ってない二人の間柄を考えるとそこまでは大袈裟だと。

だからこそ二人は工藤の家には行かずに三日という時間を新一がいない日常を過ごすと共に、近い内に帰ってはくるだろうけれどこのままが続くならもう新一に何かを言うこと無く、荒垣へアタックしてもいいんじゃないかというように次第に考えるようになっていった。小五郎の元に来た依頼で誘拐が発生したと分かった際、場に居合わせた荒垣が颯爽と誘拐された子どもを助けて誘拐犯をのしたという頼りがいのある話を聞いたのもあってだ。

そうしたように二人が考え出した四日目の夕方程になり、流石に新一が顔を全く見せない事を不審がって荒垣が蘭と園子と共に小五郎の元に行き、そろそろ優作達の方に連絡した方がいいんじゃないかと話をしていくのだが・・・そこに阿笠が眼鏡をかけた子どもを引き連れて小五郎の元を訪れた。









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