舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

・・・そういった蘭の迷いについてに荒垣は仲良くまでで迷うのはどうしてかと本心からそんな言葉が出たことへの驚きもあって聞くのだが、そう考えたのは他ならない荒垣の存在や行動があってと蘭から返ってきたことに思わずどういうことかと眉を寄せた。

そんな中で蘭がそう思った理由は一人暮らしではないし新一と違って推理や事件に関わろうとする様子を見せないという大きな違いはあっても、料理を度々作っては差し入れをすることも含めて家事を嫌がる素振りなどないどころか得意そうにしている姿もそうではあるが・・・何より口はうまかろうが推理関係に精々自分の知識披露くらいにしか積極的に口はあまり回らない新一と、口数は少ないながらもちゃんと一つ一つに分かるなりにも分からないなりにも答えてくれたり付き合ってくれる荒垣さんと比べると、嫌いではないけどどうにも何とも言えないといった気持ちを抱くようになったと返してきた。

そんな様子に荒垣も何とも言いがたそうな顔になりはしたが、すぐに結論を出さなきゃならない理由もないだろう上で俺がそうしろと言ったからそうするからで工藤が納得するとは思えないから、まだしばらくは急ぎすぎないように判断の時間を十分に取って考えてからにしろと返すと蘭も納得して頷いてくれたのだが・・・正直な所として荒垣からすれば蘭がこんな短期間で新一との付き合いに関して疑問を持つようになると思っていなかったから、予定外だという焦りがあった。

だが荒垣の表情筋は動揺しているとすぐに分かるほど豊かに動くようなものでなかったのが幸いして蘭に気付かれることはなかったが、その会話を終えた後に冷静になっていく頭の中で案外とあっさり毛利が工藤を見限るようになるのでは・・・という考えが浮かんでいた。中学の頃は学校を新一が敢えて行かないだろう所に進学した為にその時の事は詳しくは知らないが、小学生になる前からの縁で繋がっていた二人がその頃から好きあっていていつくっつくのかというような様子を見てきた身からしたら、心底から意外だという気持ちが消えにくいのはとにかくとしてだ。

だがそんな姿を見てきて尚どうにかしたいと思って敢えて仲間の元を離れ、一人で再び新一の近くに事件に巻き込まれる可能性を承知で近付いたのだ・・・この好機を見逃すほど荒垣は甘くないし、一層慎重でいて丁寧に事を進めていこうと決意を固めた。話を聞く限りでは新一が勝手に自滅だったりボロを出していくであろうと予測は出来ても、それで雑になるようなことはしないようにとだ。



















・・・そうして時間は進んでいく中で荒垣は焦らずゆっくりと蘭や小五郎に対して新一と距離を離していくようにといった印象を植え付けるような話をしていき、二人もそうだが蘭の友達であり以前から荒垣達と付き合いのあった園子もそれらを聞いていって、次第に新一について如何なものかと思うといった気持ちを強めていった。話に聞く様子やたまに蘭やら園子やらが遊びという名の来訪をすると、隠そうとしていたが家の中は埃っぽさもそうだが掃除の甘さが感じられる汚れが所々あるし、使わない部屋や収納に物をぶちこんだだけという状態も確認した上で冷蔵庫の中身も飲み物や冷凍食品があるくらいで、台所も料理や自炊をした跡がしばらくないんじゃないかというレベルで使われてなさそう・・・というよう挙げればキリがない程に粗が見えたと。

そしてその上でこんな生活を続けて大丈夫なのかとかやっぱり二人に戻って来てもらった方がいいんじゃないかというよう直接二人は言ったそうだが、返ってきた答えが目暮警部からの要請があるからとか推理小説に集中している内につい・・・みたいな自分が悪いんじゃないし二人を呼び戻す必要はないといった答えだったことに、蘭と園子は揃って自分の生活の改善をする気はないと判断して帰ったとの事だった。勿論掃除やら炊事やら身の回りの世話などすることもないままに。

そしてそんな話を聞いた小五郎が蘭達から聞いた話だと優作達に説明するように報告をするわけだが、色々聞きはしたものの一人暮らしに慣れてないから仕方無い部分もあるというように言った上で・・・蘭ちゃんが仕方無いって言いつつも掃除やご飯を作ったりしてるんじゃないのと有希子が平然と言ってきたことに、小五郎は一人暮らししてるんだから甘やかすなって俺が言ったからと返して連絡を終えた後にたまらず頭を抱えたとのことだった・・・荒垣から予想はされていたが、やはり二人はナチュラルに蘭が新一の面倒を見ることを勘定に入れていたのだと分かり。









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