舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

「そんでまぁその話を聞いた蘭にどう思うかを聞いたんだが、複雑だっつってたよ。二人や新一は新一の事を大丈夫だと本当に思ってるって雰囲気は間違いないらしいが、今の蘭からしたら新一の性格からしてろくな事にならねーんじゃねーかと思ってるそうだ」
「・・・今の蘭から、というのはどういう意味ですか?」
「俺の勝手な予想だってのを前置きはしとくが・・・昔の蘭だったら何だかんだ文句やらを言いつつも、新一に対して仕方無いみたいな事を口にしつつ嬉々としていただろうって思うんだよ。昔だったら自分がやらなきゃみたいな使命感から新一から頼まれてもないのに、甲斐甲斐しく世話をしようってな・・・こりゃ言ってみりゃ蘭が前は新一の事を疑うことなく好きでいたからだが、お前とまた交流するようになってからちょいちょい変わってきた結果だと俺は思ってる。新一関係の悪いことをあばたにエクボみたいな風に思わなくなった結果だとな・・・その点じゃ俺も同じように考え方が少し変わった事を自覚してる上でお前に感謝してる。新一や優作さん達と長いこと関わってきたことで事件や探偵に対してだったり、普通の感覚ってもんが麻痺ってた事を教えてもらえたことにな」
「俺は教えたつもりはありませんよ」
「確かにお前からすりゃそうだろうが、お前らが主に新一の事があるから学校を離した理由の中身を聞いて考えたんだよ。普通に考えりゃそんな日常でやたら事件に出会すなんて事が繰り返して起きていく上で、それを解決したからっつったって喜ぶのもそうだが笑顔なんか浮かべ続けられるのは嫌だって気持ちがあったって聞いて、そりゃ普通に考えりゃ事件に関わりたいなんていう奴の方が少ないのが当たり前だってな・・・」
小五郎はそこから蘭の様子について話し出すが、次第に小五郎自身も実感をしたというように声と表情をしみじみとしたように漏らして頭を下げる。そんな姿を荒垣は目を可哀想な物を見るように細めていた。






・・・荒垣が帝丹高校に通うことにしてから以前のままとは言わず、小五郎の元を訪れる形で蘭やその周囲と交流していった。ただ荒垣は見た目からしてもそうだが性格的な問題からそんな人との交流を積極的に行う人物でもないのだが、それを敢えて行う理由は何かと言えば新一当人はもうハナから期待はしていないがその周囲・・・特に蘭と小五郎の毛利親子の意識改善を目指しての物だった。

これは新一自身は否定するだろうがやけに事件に出会しやすい性質を持っている上に、それがさも普通の物だと自分だけでなく周りにもそういうものだろうと自然と認識させているようなものだと荒垣達は思っていた。そこに悪意はなく事件が起こるのはよくあることだし、自分が事件を解決するのは当然の日常だし問題ないと思っていると。

しかし荒垣達からすればそんな事を日常とは思えないしそれを当然としたくないから距離を離すようにしたのだが、それでも荒垣は一人でその周囲もだが特に毛利親子にその考え方を変えて欲しいと思ってわざわざ近い位置にある帝丹高校に通うことにしたのだ・・・言ってはなんだがこのまま新一の影響を受けた二人の姿を見たり聞いたりするのは、心の何処かで受け入れがたいと荒垣自身感じていた為に。

そういったことから荒垣は帝丹高校に入ってからは久しく交流をしてなかった分を取り返すというような形で、まずはと小五郎の所に手料理など土産を出来る限り持ってくるようにして交流をしていくのだが・・・然程時間をかけずに小五郎は荒垣からの話を聞いて変わっていったのである。新一の活動やら考え方に関しては何だかんだ言いつつも能力込みで認めるような気持ちはあったが、今となっては口数はそんなに多くはなくても事件と関わることを良しとしない荒垣の話から事件に関わることや新一の事をどうかというよう。










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