かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

「二人も呼べって言った理由に関しちゃ工藤新一が『江戸川コナン』として動くために事実を知りながら何も言わずにサポートしてきた協力者ってこともそうだけど、どっちかっつったら毛利小五郎のその後についてを話し合わせる為だって・・・ただ工藤新一はその後の話し合いについては滅茶苦茶聞きたくなさそうにしてたけど、ハッキリ安室は言ったのよ。今まで名探偵として工藤新一に操られる形で名声を得てしまった毛利小五郎が普通の探偵としては実質的に活動は出来なくなるだろうからこそ、君の両親にも・・・というより両親にこそしか出来ない形で責任を取ってもらうのは当然だろうとね」
「今までの話からしたら工藤新一は俺のせいだからとか、両親にはそんなことはどうかとか言い出しそうだな」
「その通りで同じようなことをまんまと言ってたよ。でも元に戻っても今言ったように『江戸川コナン』がいない以上毛利小五郎に名探偵として依頼を達成出来ないこともそうだけど、両親をどんな形でも巻き込みたくないというなら君が毛利さんの抱くであろう不平不満やらを全て一人で論破し、かつ毛利さんがどんな辛く金銭的に困難な目に遭っても助けを出さないか君一人で両親の資金援助なしに毛利さんを資金やらその他諸々全て支えることが出来るなら構わないが・・・と言われてようやく黙り込んだね」
「大方気持ちだけでどうにも出来んだろうと現実的な視点から言われ、諦めざるを得なくなったのだろうが・・・やはり聞けば聞く程に気に入らんという気持ちが際立ってくるな。自分が考えたことだからとか行動したからというように責任を取りたいと思っているのだろうが、結局はそれも勢い任せで責任の取り方もろくに考えてないだけの言葉でしかない・・・この様子では両親が帰ってきても安室君が舵取りをせねば、両親を含めて大層な言葉ばかりで現実的にどうするかなど考えそうにないとしか思えんな」
「そこんとこは俺様もとっつぁんとおんなじ意見だけど、そこから先はもう知らないさ。そういったことを話した後で話は後日二人を呼び出して新たにって事になって場は解散になって、俺はもうこれ以上は聞く意味はないって思ってこっちに来たからね~」
そうして二人の事についての話で安室と新一がどういった会話をしてきたかについてを聞きまた銭形が呆れた声を漏らし、そこでもうこれ以上盗み聞く意味はないから打ち切ってきたと振り返るルパンの顔は・・・笑顔でこそはあったが、嘲笑と言える物であった。
「・・・今回の組織の壊滅の件は、言ってみりゃいくつかの要素が絡まったからとっつぁんや俺も動いてこういった結果にはなった。これは工藤新一からすりゃ他の誰でもない俺がやるべきことだとか、組織は俺が直々に潰したいし潰さなきゃ気が済まないって思ってたんだろうから色々と諦めが悪かったり不満に思ったのもあったから、ごねたりなんだかんだしてきたんだろうが・・・そもそも自分の狙う獲物がいつまでも自分が取るまで獲物でいてくれる保証なんて何処にも無いってのに、勝手に自分しか取れない獲物だって風に考えてたから工藤新一はあぁなっちまったんだろうさ。大捕物に限った話じゃなくて目を付けていた数の限られていた物を先に買われるだとかみたいな風に、予約者優先みたいな制度もない状態なら先に手を付けた上で勝ち取れたという結果を生み出せた奴の方が正しい場合が多いってことなんか考えもせずね」
「・・・そうだな。確かに早い者勝ちというのはよくあることだ。その上で言える事としては組織はやってきたことの悪質さやその規模も相まって、様々な方面に敵を作っていた。その中にはFBIに公安もそうだし、ワシらICPOもいたしCIAもお前の調べからいたと分かっている。その事から考えるならきっかけ次第ではいつどこの機関もだが同じような裏社会の別の組織に潰されることも有り得ただろうに、そんなことなど考えていない辺り本気で自分が壊滅するし自分にしか奴らはしか壊滅させられないとでも考えていたんだろうな・・・自分の能力やら何やら全てを過信してな」
「それで間違いないと俺様も思うね。自分っていう存在がそうしなければならないんだ、みたいな気持ちが何より先立っているんだろうなってね」
そんなルパンが語る組織の壊滅についてに銭形も静かに同意しつつ新一の考え方についてこうだろうと口にすると、同意をするように一つ頷いた後でまた背を向けた。









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