かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

「・・・それで、工藤新一としては自分もだがその灰原という少女の為にも薬のデータが欲しいと安室君に切り出したというわけか」
「そ。そしてついでに言うならそこにいたFBIの男もデータを渡して欲しいって口添えしてきたのさ。理由としちゃ工藤新一の為ってより、その灰原って少女の為って気持ちが強いらしくてね・・・何でも今となっちゃもう組織も壊滅したから言うってことで話をし出してその男からしたら愛してた女がその灰原って少女の姉ちゃんで、せめて姉の忘れ形見であるその子には元に戻って幸せになって欲しいって切り出してきたのよ」
「・・・組織に利用されてきたという経緯を聞けば同情出来ん訳ではない気持ちにはなるが、肝心のそれをどうこうするかの決定権を持つ安室君はどういうように判断したんだ?」
「そこはちょいと色々長くなるからある程度かいつまんで話すけど、結論から言うと条件付きでデータを渡すっていうか閲覧出来るようにするっていう話になったぜ。つってもその条件はそのFBIの男もそうだが、工藤新一にとっちゃかなりキツいもんだったけどね」
それでデータを欲しがった理由に銭形は納得しつつ話を聞いていく中、ルパンは肩を竦めながら条件と口にした時に口元を笑わせていた。
「ま、まずはFBIの男っつーかそのお仲間も含めての話になるけど・・・正式に公安に協力を求めてないのに勝手に行動してきたこともそうだけど、その男ってのが簡単にまとめると自分の死を組織に誤認させる為に死んだ組織の人間を使って男が死んだって死体の偽装をしたらしくてさ」
「何っ!?そんな事をやっていたというのかFBIは!?」
ルパンはそこからまずはとFBI側からの話を始めるが、そこで出てきた有り得ない単語の羅列に銭形は驚愕のあまりに冷静さを欠く声を盛大に上げてしまった。端から聞くだけでもあまりにも有り得ないんじゃないかと思わせるまさかの事を聞かされ。
「正確にはそのFBIの男とCIAのスパイ・・・そして工藤新一だけがそうして組織を騙すためにやった死亡の偽装工作らしいんだよね。ただ今となっちゃもう組織の壊滅はとっつぁんや安室達の活躍で出来ちゃったから、もう偽装する必要もなくなった上で死亡届を撤回させないと色々と面倒になるのよ。代表的な事としちゃ一応その男は日本人じゃあるんだけど、所属はFBIだから海外に出るっていうか戻るにはどうしたってパスポートを使わないといけないけど・・・」
「死んだ人間がそんなもの使うことなど出来んから、本当は組織を壊滅した後に潜伏していたから死亡届を撤回してくれと願い出て、それが達成されたら組織を壊滅させた満足感やら何やらを抱きつつ悠々と凱旋する心算だったんだろうが・・・そんなことを安室君が許さなかったということか」
「そう。んでまぁ何を条件に出されたのかって言うと死亡届の撤回はするけれどそれはFBIに返す為だから仕方無しっていうのもそうだけど、だからって事実が明らかになったこともそうだけどICPOと違ってちゃんとした協力要請もしてこなかった奴らに罰なしで済ませるなんて気はない・・・だから条件としてはFBIにやったことを全て報告させてもらう上で日本にはもう任務であろうがなんだろうが以降は訪日することは許さないようにする事と、嬢ちゃんは公安預かりの対象にしてお前らの元には行かせないってのを飲まないならデータは使わせないってな」
「・・・まぁその辺りが所属も国も違う面々に対して出せる要求としてはギリギリといった所か。軋轢やら色々考えた上で公安に迷惑やらをかけていたことを思えばな」
「俺も聞いててそれくらいがいいくらいかなって思ってたんだけど、そこで不満を口にしたのが工藤新一だ」
その様子に補足を入れつつまた話を進めるルパンから出てきた条件に銭形は落ち着きを取り戻して頷くが、新一がそこで出てきたと漏らす。









.
18/24ページ
スキ