かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

「・・・しかし、江戸川コナンに関しては本当にワシは何もしなくとも良いのか?安室君からは訳ありとは聞いているが、その中身に関しては頑なに君は教えてはくれなかったしICPOにも伝えないようにしてくれと言われたが・・・」
「・・・えぇ。彼に関しては僕が対応しますが、その際銭形さんに彼の事実を知っていると明らかにしたなら十中八九というような物ではなく確実に貴方に厄介事が訪れるのは目に見えています・・・ですから何も貴方は江戸川コナンのことについては知らないという体で進ませ、銭形さんには追求が来ないようにさせます。それが僕からしてせめてもの貴方に対しての礼であると共に、それ以上に彼と組織との戦いを共に行ってもいいのではと考えていた自分への戒めにしないといけないと思ったんです・・・警察としてや公安として以前に、大人として子どもを頼るなど良くないということを改めて戒めとするべきと」
「そうか・・・ならワシはこれ以上は何も言わんよ」
ただ握手を解いた後に銭形は江戸川コナンについてを問い掛けるのだが、安室が表情を様々に変えつつも最終的に意は決していると表情を引き締めて返す様子に頷いて返した。これなら大丈夫だと認識するよう笑顔で。


















・・・そうしてその後に飛行機の時間が来たとの事で銭形は発着便の入口へと向かい、安室はその後ろ姿を見えなくなるまで見送っていった。



「・・・さて、銭形さんも見送った事だしこれからコナン君や赤井達と向かい合う事にするか・・・」
それで安室は先程までの笑顔を消し、ポケットから震える携帯を取り出し冷めた瞳を向ける。銭形と話している時から震えていたが、その液晶の画面に映っていた名前は先程の話題の中心であった江戸川コナンという名前だった為に・・・


















・・・そのように安室がなっていることなど知らないまま銭形は飛行機に乗って日本を出て、ICPOの本部に戻って一連の行動についてを報告をした後は誉められた上で報奨と共にしばらくの休暇を渡すと言われる事になった。これは例えルパンの情報ありきとは言え組織の壊滅という偉業を為し遂げた事に対して何もしないわけにはいかないということと、ルパンが現れれば組織を追う任務が終わったのもあってどうせ休暇だからで止めても無駄だということからしばらく休んでもらうという体でいいとなったからである。その辺りは銭形も承知の上だ。



「よう、とっつぁん」
「・・・何の用だ、ルパン?まさかわざわざワシに捕まりに来た、なんて言う為じゃあるまいな・・・?」
「そんな訳ないじゃん。とっつぁんがいなくなった後、日本で何が起きたのか・・・その後日談を伝えに来ただけだから、ちょいと落ち着いてって」
「後日談・・・」
・・・そうしてしばらくの時間を過ごしていた銭形だが、暇をもて余してとある公園のベンチに一人で腰掛けていた所に軽い笑顔を浮かべながらルパンが現れた。
そんなルパンに前のように一も二もなく飛び掛かるのではなく静かに立ち上がりながら圧をかけるよう問い掛けを向けるが、日本での後日談との言葉に少し圧を下げるようにベンチにまた座る。
「やっぱとっつぁんも何だかんだ言いつつ気になってたようだね、安室っつーか江戸川コナンのそれからの事がどうなったのかってこと。ま、取り敢えず江戸川コナンって存在が何なのかってことから説明するから」
ルパンは軽くそうした理由に察しをつけながらも話し出す。まずは江戸川コナン、いや本当の正体は何なのかについてを・・・









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