かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

ただそこからは意外にともいうような形になるが、組織を弱体化させることに関しては苦労することはなかった・・・これは下手に切り捨てられる下っ端やコードネームは与えられていても信用がなかったり、どこかの機関からスパイで送られてきていた面々のことは気にせず、ジンのような完全に組織の人間という信頼のあるコードネーム持ちのみを狙うことになったからこその物であり・・・銭形に渡したような麻酔銃でそいつらを片っ端から狙っていったからだ。

これは言ってしまえばコードネーム持ちでも組織を裏切らないと言い切れるだけの忠誠心を持って行動出来る者はジンを含めた一部くらいであり、その他の面々はいつ裏切るかを常に考えているだったり惰性からだとかどうしようもないから組織に従っているだけで、本心から組織に忠誠を誓っていない面々が過半数以上だという安室やルパンの調べがあったからこそ出来たことである。命をかけてでも組織に対する忠誠を尽くすなんて事は表向きは組織の前では見せても、いざ組織が潰れるとなれば減刑や酌量の余地を見せるみたいな言い方をすればなびくのが大半を占めるだろうと見てだ。

そうして銭形達は二人を捕まえた後はジンを始めとしたコードネーム達を予告無しに麻酔銃で狙っていくのだが、それもあっさりと事は進んでいった・・・まだ表面上は二人が捕まっていないと見せていた事からボスからの指令だというように連絡をし、ジン達を人気のない場所に呼び出してそこで狙撃するというようにしたら容易に来てくれたのである。これがもしバーボンとしての安室からの話だったなら勘繰られたり疑われたりしたであろうが、やはり誰も正体を知らないし居場所を知る者もほぼほぼいないボスがとっくに捕まっているだなどと考える者がいなかったが故だ。

そうしてジン達を捕まえることが出来た訳だが、更にそこで追い風になる出来事が起きた。それは捕まったベルモットが安室から事実を聞いて、ならと自分の知る限りの情報をぶちまけていったのである・・・以前から組織に対して思うところを感じながら過ごしていたが、ボスやジン達がことごとく自分と同じように捕まっているのならもう全てをぶちまけようと。

そういったベルモットの暴露から下っ端に成り済ましていたルパンが探りきれなかった組織の深い所だったり有益な情報も得られた銭形達は、そこから更に組織を壊滅させるために動いていって・・・ようやく組織の人間達がまずいと気付いた頃には既に立て直しをするには致命的にキツい状態になっていて、幹部達が軒並み捕まってしまっていたことから降伏をせざるを得ないという状態から、続々と組織の施設にいた人間達は一部を除いて抵抗せずに降参していったのである・・・






「・・・ありがとうございました、銭形さん。貴殿方からの協力の申し出のおかげで、組織はもう再建不可能と言えるレベルにまで落ち込みました。後は僕達公安だけで日本は大丈夫ですし、銭形さんは外国の拠点に関しては他の捜査官に任せてルパン三世の身柄の確保の任に戻るんでしたよね?」
「あぁ。ボスや幹部達は軒並み捕えることが出来た上で、海外の拠点はICPOの捜査官達によって制圧されていっているから、もうワシが出張らなければならないような規模ではならなくなったから戻っていいと言われてな。だからワシは本部に一度戻った後、またルパンの確保に力を尽くすよ」
「その時が早く来ることを僕も願っていますし、日本でルパン三世を捕まえるために人手が必要なら連絡をください。公安として大っぴらには動けなくてもお手伝いはさせていただきますよ」
「ありがとう安室君」
・・・そうして組織が反撃や逃亡すら出来なくなるくらいに日本でもだが海外でも規模が縮小させられていったことを確認して、これならもう後は事後処理程度で済むと見られるレベルにまでなった頃に、ICPOから銭形は以降は他の捜査官に任せていい頃合いだと連絡が来たことに銭形自身も後は任せてもいいと納得する形でルパンを追う任務に戻ることになった。
そうして空港にていつものカーキ色の帽子とコートを身に付けた銭形は安室と笑顔で握手しながら会話を交わす。組織と協力して戦う中で互いに組織のせいで友を失う結果になったのを話し合ったのもあり、仲が良くなった二人は今となっては確かな友情を感じる形で。









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