かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

・・・そうして銭形と安室達は各々の上司達に連絡をし、少しの時間を準備の為に費やして万全の態勢を整えていった。銭形達の間でこういった話し合いがなされたからということで、ICPO側も人を派遣するということでだ。

これに関しては銭形が応援を頼むと言ったこともそうだが、安室からの言葉でFBIが協力関係でもない状態で関わってきているというのがICPO側が重く見たポイントであった・・・一応というかICPOとFBIは敵対しているような関係性ではないのだが、だからと言って仲がいいというか気さくに話し合えると言えるほどでもない。単純に機関が違うから何もないなら暗黙の中で敵対もしないし味方もしないという関係でしかないのだ。

そんな何とも言い難い関係性ではあるが、だからこそICPO側としては余計な事をして関係性をより微妙な物にしたくないという気持ちがあった・・・その為に今回の銭形からの応援依頼を受けたのである。自分達は公安とちゃんとした形で協力しているが、そちらは公安側に協力を持ち掛けてもいないし持ち掛けられてもいないだろうと、公安からしてもICPOからしても互いに正式に協力関係なんだと示して個人の感情はともかく、公の機関としてのやり方を踏まえていないFBIが悪いというように指し示して少しでも攻撃させないよう、波風を立たせないようにする意味でだ。

故に正式に協力しあっていると示すためにも人員を送ったのであり・・・その人員達が到着して、銭形達はボスとラムの二人を同時に捕えるために行動を起こした。と言ってもボスは隠れていて人を置かない方が却って安全だという立場もあって、ラムの方に逮捕の為の人員を重点的に配置することになった上で安室はボスの方にの代表で、銭形はラムの方にの代表で向かうことになった。

この人員配置の件に関しては組織のトップと二番目を捕まえるにあたって、公安とICPOの両者の面子を考えた上でと万が一取り逃した場合に備えてだ。一応協力をしあう関係な以上手柄は共有しあう物ではあるが、それでも手柄を各々の所属の面々が立てたというのを分かりやすくするという狙いがあるためであるが、ここでラムが銭形になるのはもし万が一安室が担当した場合に捕まるのは良しとしても安室が裏切り者だと最後の悪あがきで組織に広められるのを避けるためだ。ボスもそういった事が出来ない訳ではないだろうが現役で動くラムの方が体が早く動くことを懸念した上で、情報が広まるのが遅くなればバーボンとしての立場から組織の壊滅の為にまだ何か出来ると見越してである。

そうしていざボスとラムの捕縛を行いに行った銭形達であったが・・・これがことのほかあっさりと両者の捕縛は完了した。ボスは元々から取り巻きが少ないことからあっさり捕まると予測は出来ていたが、ラムに関しては一人でいる時に銭形は安室から渡された麻酔銃を用いる形で予告無しに首筋を狙撃したことで特に抵抗される事なく、倒れこんだ所を捕縛した・・・ただ麻酔銃を受け取った時にどういうことかと銭形は安室に問い掛けるのだが、手早く抵抗させないようにした上で自分達の思うようにするための手本があったからそれを参考にして先手必勝の為に作った物だから使って欲しい・・・と言われたから銭形も余計な抵抗やら何やらをされるよりはと思って麻酔銃を受け取って行動をすることにしたのだが、その際の何とも言いがたそうな複雑な顔に銭形も最善を優先するためにこれを使いたくないが使った方がいいのだと気持ちを曲げ、渡してきたのだとも理解したのだ。

故に銭形もその心を汲んで抵抗するのを取り押さえて手錠をかけたいといった気持ちを抑え、確実に逃がさないようにと麻酔銃を背後からラムの首筋に麻酔弾を撃ち込んだのである・・・マジになれば舐めていたとは言え次元相手に早撃ちで勝てるくらいの銭形の射撃の早さに正確さからすれば、例え裏社会で名を馳せているとは言え油断した人間が反応出来る道理もない。

それでそうしてボスにラムの二人とついでに僅かにいた取り巻き達も捕縛に成功して、連絡手段を剥ぎ取った事から組織の中でも二人が捕らわれた事実を知る者などおらず・・・そこから組織の壊滅に一気に銭形達は取り組んでいった。









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