かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

「・・・つーか話を変えるが、今更ながらにあの組織への潜入やら情報を抜き出すのはそんなに簡単だったのか?とっつぁんに渡した資料の中身的にボスの正体やら重大そうな情報も入ってたが、そこまで温い組織だったか?あそこは」
ただここで次元はふとしたようにルパンに顔を向け、素直に疑問に思ったことを口にしていく・・・一応というか次元も裏社会に属する人間として組織の事は聞いたことがあるが、裏社会でも結構な幅を利かせている悪い評判も沢山な組織からあっさり情報を抜き出せたのかと。
「まぁそこは入り込むまではちょい苦労はしたけど、入り込んだら案外楽勝だったぜ?堅牢な城は外からの攻撃に強いけれど中からの攻撃には脆いなんて風に言われた言葉があるけど、実際中に入ってみりゃマジでそんなもんだったからな。この辺りはやっぱり自分達のセキュリティを過大評価してるのもあったんだろ」
「それでもコードネーム持ちは油断ならねぇ奴らが揃ってるって聞くが?」
「その辺りはぶっちゃけコードネーム持ちがいる時だけ気を張ってりゃなんてことなかったぜ?確かにそういった奴らを見かけた時は組織の施設の中でも警戒心を残してるって感じで隙を見せようなんて風にはしてない奴らが多かったが、確かにそういった奴らは粒が揃っちゃいても全員が全員それクラスの能力なんざ持っていないっつーか、コードネームを持ってねー組織の面子が任せられてる仕事ってのは大抵がその施設で与えた仕事に従事しろって言われてる面々ばかりだったからな。そんな風なもんだから何にも事件が起きなきゃ他の事になんて無関心な奴らばっかりだったし、重要な情報を探る時には辞めて逃げたいって雰囲気を出してるヤツに偽装の死亡や海外逃亡するのを請け負うからって取引を持ち掛けて、そいつに成り済ましてあっさり色々抜き出してきた・・・って訳よ。精々苦労したのが何かって言えば他の何よりも徹底して秘密にされてるボスや、No.2の位置にいるラムの正体を明らかにするくらいだったからな。あの二人に関しちゃ顔や名前どころか連絡先すら知ってる奴が稀だったから、そこを掴みさえすりゃ後はどうにでも・・・ってな」
「成程・・・お前からしたら付け入る隙だらけな部分がいくつもあったから問題はなかったってことか」
「そういうことさ」
ルパンはその経緯についてを話していきそれらを一通り聞いていき、次元が納得といったように笑みを浮かべる様子に同じように笑みを持って返す。






・・・ルパンと次元は当然のように話しているが、組織の厄介さはICPOだけでなくFBIにCIAに公安といった各国の捜査機関が命懸けで相対しなければならない程に危険な存在だ。各機関が慎重にスパイを送り込んで長期間情報を抜き取ろうとしているが、そんな易々と情報など抜き取れないし壊滅も出来てないのである。各機関が出してるスパイ達も各機関で特に優秀であるのにも関わらずだ。

しかしルパンはそんな優秀な人物達が苦労しても出来ないことを然程時間もかけないままあっさりと成し遂げた・・・これはそんな人物達が実は無能だったからといった理由ではなく、ルパンの能力が高いと言うのに加えてあらゆる物を盗み出すテクニックの引き出しや質の違いもそうであるが・・・何だかんだでグレー寄りではあっても表の機関に所属して慎重に動く者達と、泥棒風情というように揶揄されることもあるが裏社会に所属していて、蛇の道は蛇というよう同じ裏社会の者としての機微を知った上で気ままに行動をしていけるメンタルがあったからやれたことだった。真に所属している機関があるからこそ目立てないというようにする者達に対し、失敗したら自分が死ぬだけかもしくは逃げればそれでいいとルパンはあっけらかんとした態度を見せながらも、その実は覚悟はいつでも決まっているからこそスキルをフル活用して大胆でいて思いきった行動にばかり出れた形で。









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