かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

(・・・いや、今はその事についてを考えるのはよそう。今重要なのはルパンからもたらされたこの情報を元に奴らを壊滅させる事に集中することだ・・・!)
しかしそこで銭形は考えを変えて組織の壊滅の為の熱意を燃やしつつ、携帯を取り出して操作していく。唯一無二のチャンスがまさかの形でもたらされたが、それをルパンからの物ということで無駄にする気はないどころか、最大限に有効活用していこうと・・・






「・・・銭形にあれは渡してきたか?」
「おう、バッチリよ」
・・・そんな風に動き出す銭形から場面は移り、銭形の住まうアパートの近くの道路の脇に車を停車してその横に立つ次元の元にルパンが現れた。
その事に次元が確認を向けるとルパンが不敵な笑みを向けてサムズアップする様子に、呆れたように帽子に手を置く。
「・・・今更だが、本当に良かったのか?わざわざ銭形を助けるような事をしちまって」
「俺も最初はとっつぁんが関わってこないなら仕事が楽になるって思ってたぜ?・・・でもなんかそうして仕事してても何か違うんだって心が言うし、仕事にも張りがねーって感じるんだよ。実際この数ヶ月は楽に仕事が出来たし気持ち的にも余裕を持てて活動出来た・・・でも俺が動く度に追っ掛けてきたとっつぁんがいないと、どうにも調子狂っちゃってさ~。それも今まで何度かあったような俺を追う事を止めさせるような命令があったからじゃなく、自分の意志で俺を追うのを止めたなんて知ったら尚更によ~」
「確かに俺もとっつぁんがルパンを追わなくなったって聞いてまたお役目御免になったかって思ってたが、理由を聞いてとっつぁんもルパン以外に何の関心もないような人間じゃねーんだなと思いはしたが・・・それでとっつぁんをお前を追うための役割に復帰させる役割を自ら負うなんざ、本末転倒もいいとこになりかねないんだぞ。仕事にやりがいを作るためとは言え、わざわざICPOに潜入してまでとっつぁんの事情を把握して行動するなんて酔狂な真似はな」
「まぁまぁ。つーか実際の所はお前も仕事に歯応えがないって思ってたことは確かだから、敢えて無理矢理にでも俺を止めなかったんだろ?」
「俺がいない内に勝手にやってたことをどうやって止めるんだよ。それも俺にこうするって言い出した時にゃもう全部やることやった後だってんだから、お前の性格的に止めたいんなら力ずくでってなるのが目に見えてたから止める気にはならないのは当然だろ」
「ヌフフ、解ってらっしゃる」
「やれやれ・・・」
そうして次元が確認を取るように問い掛けを投げ掛ける形で話をしていくのだが、ルパンが返す中身もそうだが全く気にせず笑う様子に静かに首を横に振る・・・だがそんな動作の中でも、口元だけは僅かに口角が上がっていた。






・・・次元は銭形もそうだがルパンとの付き合いが長いため、ルパンがこういう時に雰囲気は冗談めかせたようにおどけこそはしても、その実として自分のやりたいことを引くようなことは余程の事情が噛み合わなければそうそうないことはよく知っていた。こういう意固地だと言えるような部分は銭形ともいい勝負が出来ると思うくらいにである・・・勿論本人達が聞けば互いが互いに否定するだろうがだ。

ただそう分かるからこそ次元はらしいと笑ったのだ・・・ルパンのらしい面に関していい面も悪い面も長い付き合いからよく知っているし、そういったどちらの面も含めてルパンと一緒にいてもいいと思っているから腐れ縁を続けている。ただそれで悪い面が強く出過ぎて時たまケンカ別れに近いことも何回かあったが、それらの出来事と比べれば今回の件は全然次元からすればいい面だと思えるのだ。銭形との付き合いやら色々な事情がも噛み合ってである。








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