かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

活動し過ぎたという意味・・・これはルパンが世界各国を飛び回る形でお宝を狙う傍ら、銭形もそのルパンを追う形で世界各国を飛び回っていた。それこそ冗談や大袈裟抜きにその距離は世界を何周も出来るくらい飛び回っていた上に、世界の主だった国やそうでない国にも粗方行っていた。

ただそれだけならそんな心配はいらないんじゃないかみたいな気持ちになるかもしれないが、ルパンを追ってる時になし崩し的な展開として一時結託といった形で銭形はいくつもの裏社会の組織や人物達と相対し、壊滅させたり捕縛をした事は両の指では数えられない程度に行ってきた・・・本来ならルパンと一時的な結託をしたというのを差し引いたとしても誇らしい結果ではあるのだが、裏社会の情報の流れ方は表社会と違うことをICPO側もだが銭形も重々承知していた。表に出ない物を取り扱う裏社会で起きた情報は同じ裏社会で流れやすい・・・つまりはルパンがやったこともそうだが、銭形がやったことも広まっている可能性が高いということを。

これに関してはハッキリと銭形の事まで組織が把握していると確定しているわけではないが、組織がルパンと共に銭形の事を知らないと否定出来る材料もなかった・・・日本以外の国にも組織が根を張っている事もそうであるし、日本でもルパンが活動してきて銭形も動いたことがあるのだから組織が積極的に情報を集めているではないにしても、銭形の事を全く目や耳にしていない可能性は低いと。

その為に銭形はICPOを表向きは主にルパン関連の失敗の事から退職させられる形になり、日本に帰る形になって再就職先を探すような感じで動くことになっている・・・これは銭形の年齢的な問題として再就職先を探すのを難しいからスーツ姿で外をウロウロしていても、そんな事情を話せば怪しまれる事はないというように考えてだ。そしてそれで銭形はスパイとして組織に入り込めない代わりに、外から見た光景からの組織に対する推測やらをスパイの人間と詰めていくという形にしているのである。


















・・・そういった事情から条件付きで銭形は日本で組織を追うために活動していって、数ヶ月程の時間が経った。その数ヶ月の間でルパンが声明を出して活動する事があったが、銭形はその際に必死に我慢をする形でルパンに対する気持ちを抑え、組織の捜査に取り組んだ・・・のだが、そういったことを繰り返す内に銭形の雰囲気はルパンが現れる程に引き締まっていき、精悍と言えば一見聞こえはいいがその実としてスパイをしている人物だったり、たまに顔を合わせるICPOの人間から注意をしなければずっとそんな雰囲気をしていると言われるくらいだった。一般人に紛れ込むにしてはあまりにも空気が張り詰めていて、とてもただ事ではないと思わせる雰囲気を消すようにと。

そう言われて銭形は度々気を付けると言って笑って雰囲気を崩すのだが、その様子にICPOの面々はルパンを追わないという条件を必死に守ろうとする事からの反動だというように予測が簡単についたが・・・そんな普段の銭形とは違う様子からの組織に対しての推測はいつもの銭形より一層に鋭いものだったことが、その面々を困惑させた。前々からルパンが関わらない事件での優秀さは知られてはいたが、その状態の時の銭形の推測は更にキレがよくスパイの情報から組織の事についてを深く切り込む事が出来たのだ。以前から疑ってはいたが、やはり幹部連中が日本・・・特に米花町近隣に集まりやすいのは、米花町と限らずとも米花町近隣に組織のボス及び本拠地がある可能性が高いという推測が現実味を増してくると。

そんな銭形の推測によりICPOの捜査は進むことになるのだが、それでも流石に今までよりは情報を得られたというくらいなのと組織もそう易々と情報を掴ませてくれる訳ではない・・・そういったことからまたしばらくは地道に動かないといけない。そう銭形も思いながら今の住まいのアパートに戻るのだが、そこにとある人物が訪れた。









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