かっさらわれる獲物と突き付けられる自分本意

銭形幸一・・・ルパン三世を専門に追うICPOの刑事であると共に、その逮捕に執念を燃やし続ける男である。しかしルパン三世やその一味を捕らえることであったりが出来なかったり、捕らえてもすぐに刑務所を脱出されたりといったことを何度も繰り返した為、何度かルパン一味を追うための役職を解除されるであるとかその能力を疑問視される事態があった。

しかしそれらについてを銭形は運や周りからの助け、そして自身の能力により覆してきた。当人は自慢する気や自覚はないものの、ルパンに対しての執念もそうだが優秀な人員を沢山抱えているICPOにおいてもあらゆる意味での能力のハイスペックさを見せたが為に。その為に銭形はルパン一味を追う専属の刑事としての地位を今となっては不動の物にしていた。

しかしそんな銭形はルパンを捕らえることに執着はしていても、その他の事など知ったことではないと全て捨て置くような薄情な人物ではない。むしろルパンが関わらない銭形は昔気質な日本人気質が玉に瑕な部分はあるが、そんな部分を含めても人格者であると共に情け深くて気さくな人物である。そしてただ頭が固いだけではなく、時として状況が求めるなら厄介な事態の解決の為にはルパンとも一時手を組み事に挑むくらいには判断力もあった・・・そんな彼は身を切る程に願っていたルパンの逮捕より、とある組織を壊滅させる為に動くことにした・・・


















『・・・奴らの事を追うと選択するなら奴らを壊滅させるまでは例えルパン三世が目の前に現れても、奴らの事を優先させろ。それが出来ない、もしくは今の条件を破ったら二度と奴らの捜査には関わらせない・・・さぁ、どうする?』
‘ピピピ’
「うぅむ・・・あの時の夢、か・・・誓いを忘れんという意味ではちょうどいい夢だな・・・」
・・・とあるアパートの和室に敷かれた布団で白いTシャツにトランクス一枚で寝ていた銭形。
そこで銭形は夢を見ていたが枕元に置いていた目覚まし時計が鳴り出したことにすぐに手を置いて止め、すぐに上体を起こしつつ寝起きとは思えないように真面目に表情を引き締めていた。夢であることから話を切り出していた人物の顔はハッキリとは見えなかったが、夢の中身自体は受け入れているというよう。






・・・銭形は元々の経緯としてICPOに入ったのはルパン三世を捕まえるためであった。そして紆余曲折を経てルパン専属の刑事という唯一無二の立ち位置を確立させたのだが、そんな彼は時たまではあるがルパンが絡まない事件にも関わることがあった。といってもその事件もいくつかはルパンがやったことだという人々の話を聞き付けて自分が解決しようと意気込んで駆け付け、結局は都合よくルパンに濡れ衣を着せる為の言い分だった・・・というように後に分かる事件もあった。

ただ他の事件に関してだが、ルパンを捕まえると普段から意気込んでいる銭形もルパンの居場所が分からないだったり予告状が出てこれを盗むといった宣言がない場合、いかに鼻息を荒くしようがルパンを追うための活動をしようがない。そんなことも珍しくないため、そういった時はルパンの活動があると見られたら即時の離脱をする事を前提に普通のICPOのする仕事に従事することは度々あった。この辺りは銭形も納得済みであってルパン関連で好き勝手させてもらっているが、ならルパンを追う事が出来ないという時に何もせず無駄飯や給料を食むというのは良くないと思っての物である。

その為に銭形はルパンが現れるか情報が手に入るまでICPOの活動に勤しむことは然程珍しいことではなかったが、ルパンの絡まない活動において銭形は頼りになると共に親しみやすい人物と見られていた。これは銭形の人格もそうだが、その能力の高さがあったからである。

これは銭形当人が元々能力が高いこともあるが、ルパンとのやりあいを幾度も繰り広げてきた事からその能力に磨きがかかってパッと見では意外に思われがちだが頭脳労働・・・特に謎を伴う事件に関してを誰よりも手早く解決することはよくあることだった。故にICPOの中では銭形にはルパンを早く捕らえるか諦めてもらい、別の事件や案件に携わってほしいというように密かに見られているし頼りに見られてもいる。

そしてそんな風に見られているからこそ銭形はICPOの面々と接する時は仲良くしているし友と呼べるような相手もいるのだが・・・とある時に銭形はそんなICPOの仲間の一人が仕事の際に亡くなったことを知らされた。









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