人の愛も仮面も変わるもの

「・・・まぁそういうわけだ。工藤が変わるかどうかは私にも分からないが、変わってもそれがどういう風な変わり方をするかという予測は今の時点では私もどうとも言えん・・・ただ私の方から一応工藤には毛利にこだわることを止めて探偵としての活動に集中する方がいいといった旨の話に関してだけではあるが、私から連絡して話をしておこうと思う。他の事に関して話しても工藤が変わることがなければ受け入れられることはないだろうし、毛利の方から話をしてもそんなことより戻ってきてくれと言われるだけだろうからな・・・まぁ工藤が私からの言葉をどう受け取るかは分からんが、少なくとも何も言わないままでは毛利達の事を諦めて一人で生活なんて考えを持つことはないだろうからな」
「確かにそう聞くとそうだと思いますけど・・・ご迷惑をかけます、美鶴さん」
「何、気にするな。一応離婚も成立した上でまだ工藤が女々しい事を言うようなら今言ったことも含めて、色々直接言いたいと考えていたのもあるからな」
そんな蘭に美鶴は話をまとめるように微笑を浮かべつつ自分が新一に話をする旨を口にし、蘭が頭を下げる様子に軽い様子で返した。蘭が悪いわけではないのだからと。


















・・・それで美鶴は蘭と別れてから少しして新一に電話で連絡して話をしていくのだが、新一は美鶴に不平不満をぶちまけていった。これは園子がきっかけであったのは確かだが離婚に関してを進めるようにした方がいいとしたのは美鶴だと聞いた上で、蘭の後押しになったのもまた美鶴の方だと聞いたことからだ。

しかし美鶴が蘭に離婚を考えさせたのは新一自身の行動による物であるし、何度も訴えを向けた蘭の言葉に応えなかったから今こうなっている・・・そう冷静に返すと新一はでも、と口ごもることになった。そしてその上で蘭に話すと言っていた一人で暮らした方がいいといった話についてを新一にすると、またでもに蘭達がいないと・・・といったようなモゴモゴとした言葉しか結局漏らすことはなかったので、美鶴は呆れを隠さないままにもう切るぞと返事を聞かずに電話を切った。普段の美鶴なら一喝なり厳しい言葉を向けていただろうが、一年以上の時間をかけても振り切ることも自分の考えを改めることもないままな上、この期に及んでもそんな様子だった新一にこれ以上何か言う意味がないと感じてだ。


















・・・そうして美鶴はその電話から新一と会話をすることなく時間は進み、様子見の為の一年が過ぎた後に蘭から電話が来たのだが・・・その中身は自分達が予想した通りの事になったことからもう新一との復縁はしないという宣言をし、新一が最初こそは食い下がろうとしていたものの自分で家のことをしようとしないことや仕事の姿勢の改善をしようとしない事から、これじゃまた一緒に暮らすのは出来ない・・・そう蘭から一年の生活についてを先に聞き出される形で引き出されて突き付けられてしまったことに、この期に及んでもこれ以上自分が探偵として動くことは必要なことだと理解してくれなんて言うだけしかしないなら、もう元妻としてだけでなく人としても好意を持って付き合うことが出来なくなる・・・そう突き付けてようやく新一がうなだれたようになりながら諦めたと蘭が言ったことに、美鶴もそうかと受け止めた。流石にいくら新一が諦めが悪くても蘭に本当に嫌われてまでも自分の考えを押し通せなかった事を知り。

その上で蘭が最後に改めて今のままを続けるならもう誰かと結婚なんてすることなく一人で生きていく事もそうだし、私達の事に気をかけることなく生きていく方がいい・・・と言って新一との時間を終わらせたと聞いた上で電話を終えた後、美鶴はこれで良かったのだろうとタメ息を吐いた。蘭達からしたら色々と辛かっただろうがあのまま新一に付き合い続けるよりは断然にいい結果になっただろうし、新一は納得なんかしていないだろうが美鶴の介入が無かったなら一時的に蘭達の不満を抑え込めてもそれはあくまで一時的にであって、いずれ来る時にはそれらが爆発してしまう時は訪れてしまい・・・その時には今のように新一だけが落ち込むのではなく、蘭やその周囲も巻き込んで良くない状態になっていただろうからと。

美鶴はそういったように考え、そこで新一達に対する気持ちや考えを打ち切る事にした・・・ポイントポイントで付き合ってきた程度ではあるが蘭達の意志は固いことはよく分かっているから、世程の事が無ければ再婚といった選択は取られることはないだろうし、そもそも蘭達はともかくとしても新一と交流していると異様な程に事件に関わることになりやすいのを避けたかったから距離を取ったのだから、もう何かしら言われなければ新一には関わらないようにしよう・・・そう美鶴は考えた為に・・・









END







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