人の愛も仮面も変わるもの

「・・・私からは絶対にそんなことはないとは断言は出来んが、工藤が変わらないといけないと自分で強く思うきっかけがなければそれは無いだろう。ただもし変わるというか、私が工藤に対して言いたいことが何かと言うなら・・・もう毛利との復縁など考えるなだとか、いっそ一人で探偵としての仕事に邁進して毛利達の事など考えない方が断然にマシだという事を言いたいな。工藤からしたら戻ってき時に毛利や子どもが家にいないであったり出迎えてくれないというのは嫌だといった言い分はあるだろうが、その結果が我慢や理解を求めるばかりでこうなったのだし、何よりそうして依頼やら事件にずっと関わらせておく方が世の為人の為になるのと共に、工藤自身は否定はするだろうが・・・家庭の事だったりを省みる時間などなく、事件や謎に向き合っている方が工藤としても楽しいのと同時に楽なのではないかとな」
「それは・・・確かに新一は否定しそうですけど、これまでの生活を考えるとそう考えた方が新一も楽だったり楽しいんだろうなとは思いますね・・・」
「そうだ・・・まぁ工藤としては毛利や子どもが家にいてそこに帰って家族との時間が欲しいし二人を愛しているという言い分はあるだろうが、それでも家にいる時の空いた時間は溜めるか買ってきた推理小説を読むだとかで謎やら事件やらに家でもドップリ浸かり込んでいたのは目に見えている。そしてそんなことをする中で二人と家族としての時間を接していて、工藤はそこに充実感を感じていたり家族の大黒柱としての役割を果たしていると思っていたのだろうが・・・」



「もう私は工藤は毛利達との家族の時間は日常ではなく、むしろ事件や依頼やらに関わることが日常であって毛利達との時間は、日常の間に入る気分転換の為のスパイスだったのではというように思ったんだ。今言ったような日常の中でそれらに関係しない穏やかな時間は、工藤としては物足りなくはあってもたまにくらいなら心身を休ませるというより、普通の人が送る日常を過ごすことで自分もその人達と同じかそれ以上に大黒柱としての責務を果たしてるだとか、普通の人の気持ちや生活を体感するための時間だと感じながら過ごそうとしていたのではとな」



「っ!?」
・・・そうして美鶴は目を閉じながらも自分の意見についてを話していくのだが、その中身を受けて衝撃に驚愕に目を見開かざるを得なかった。美鶴の私見からの言葉とは言え、蘭達との時間を軽視というか自分本意でいて蘭とのズレが酷いと言わざるを得ない言葉を聞いたことに。
「無論、工藤に話を聞かせればそんなことはないと否定するだろうし私の言葉が全て正しいなどとは言わん。ただそういった考えから私は工藤の思う探偵としての在り方を根本的に覆された上で、普通の人が送るような日常を得難くありがたい物だと思うような出来事がなければ無理だと思う・・・そしてそれは工藤との交流をしてなかった私より工藤と結婚していた毛利の方がより分かると思うが、どうだ?」
「・・・そう、ですね。特に仕事がない時でも推理小説を読んでるんじゃないかって言うのは実際に合っていました・・・新一からしたら実際には誰も人が死んでもいないし悲しんでいない物語の中での事を楽しむだとか、休みの日くらい本を読ませてくれてもいいじゃねーかって返すと思います。でも新一は現実でも難解な謎が絡む事件に数えるのが面倒なくらいに関わってきてるはずなのに、それでも全く事件だとか謎だとかにうんざりだとかそういった物に関わりたくないみたいな気持ちなんか今まで見たことは私は一度もありませんでしたし・・・美鶴さんが言った普通の筈の日常がスパイスっていう言葉は、今の私は大袈裟じゃなくその通りだって感じました・・・新一からしたら探偵として在ることだとか事件や謎に関わることは普通どころか当然だからって思っていて、もう本当に余程じゃないと新一は変わらないんだなって・・・」
ただそこで目を開けて私見だということを強調しつつどうかと美鶴が視線を向けて投げ掛けると、蘭はうなだれるようにしながら重く肯定を返した。新たに美鶴から聞かされたその言葉達に新一を更に見損なうというより、見方を変えるとこうにしか見えないと蘭自身感じてしまったが為に。









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