人の愛も仮面も変わるもの

「新一と別居してからどうして私達はこんなことになったのか・・・そういう風に子どもが寝ている時とか、一人の時間になってよく考えていましたし、お父さん達にも話を聞いてもらうこともありました。そんな中で私は二人から聞いた言葉から思い返して納得してしまったんです・・・私達は子どもの頃からの関係や気持ちのままで居続けたこともそうだけれど、子どもが生まれたことでそんな私の気持ちだとか考えが変わってしまったのに対して、新一は変わらなかったっていうか・・・変わろうなんて考えようとも思っていなかったからだろうと」
「その言葉は納得出来るな。特に工藤に関してを考えてみれば小さい頃から自分は探偵だと公言し、そのままの勢いで探偵となったんだろう・・・私は新聞やニュースくらいでしか工藤の事は聞いていないが、その時の写真を見る限りでは姿形が成長したくらいでその本質は一切変わっていないとしか思っていなかった。昔ならともかく今の毛利だからこそ言うこととして、事件が起きたことやその事件を自分が解決出来たことを心底から喜ぶ・・・更に言い方を悪く言ってしまうなら、自分がこの難事件を解決したんだと言い触らすとても大人として落ち着いた人間とは思えない、正しく子どもがこの遊びに勝ったから自慢しているといった感覚だったんだろう。本人が聞けばそんな子ども染みた考えなんてないと言うだろうが、俺の推理力はすごいだろうみたいな気持ちは持ち合わせていただろうというのは感じてしまうくらいにな」
「・・・確かに昔の私が聞いたなら新一の事を悪く言うなんてみたいな事を言っていたと思いますけど、今ならそれが間違いじゃないって言えます。でもそれを今の私なら言えるっていうことは、美鶴さんは昔の私には言っちゃならないって思ってたんですね・・・昔の私だとそう言ったらそんなことないって怒るだろうって」
「あぁ。昔の毛利なら軽く言えばそうですよねくらいに返しただろうが、本気で言えばそんなことはないと言っていただろう・・・新一の事をそんな風に言うなとな」
「・・・確かに冗談めいた言い方なら同意して、本気ならそんな風になってたと思いますけど・・・そんな風に前から美鶴さんは私達の事を見てたんですね・・・」
「あぁ。当時の毛利はそれだけ工藤に対して首ったけだったのは見ていて感じたからな。だから下手に私達はお前が怒らないように何も言わないようにしていたんだが、こういった未来になるとは思っていなかったから今言っているんだ・・・本当に当時と比べて変わったものであると共に、もうここまで来たのなら最低でも工藤が変わらないなら元に戻るなど止めておいた方がいいとな」
「・・・それだけ私は周りから見たらとかそういった事を考えてないようにしか見えてなかったって事なんですね・・・でも私が変わって怒る事はないと見たからこう言った・・・こう聞くと今は自分が変わったことに関しては少しは自覚はあってこういう風に考えられて思いますけど、美鶴さんはこれから時間をかければ新一は変われると思いますか?・・・私はもう新一にはそんなことは無理だと思うんですが・・・」
それでいかに自分が考えたかを話していき美鶴もその話に合わせて話をしていく中で、次第に蘭は複雑そうな様子で新一は自分と同じく変われるのかと美鶴に問い掛ける。未だに愛しているからとかそんな事からではなく、新一は変われないんじゃないかという諦めに近いよう・・・そんな蘭に美鶴は目を閉じつつそっと首を横に振る。









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