人の愛も仮面も変わるもの

「・・・子どもは新一のようにしたくない、か。昔の蘭なら本当に有り得ないというか何だかんだで新一のようになったらやっぱり新一や私の子どもだから・・・みたいに言ってた筈だろうに、そうじゃなくなるのは昔の俺もだけど美鶴さん達も想像出来なかっただろうな」
・・・それで夜の街を一人歩きながらヘッドホンで耳を塞ぎつつ、湊はそっと誰にも聞こえない程度に呟いていく。新一と蘭の関係が昔とあまりにも劇的に変わりすぎたということに対して。
「・・・ま、そういった考えもそろそろどうでも良くなるんだろうな。園子に対しての美鶴さんのお節介から始まるこの一件はそろそろ終わるから、また前のように俺達の距離は広がるだろうからな・・・」
だが湊はそんな中でどうでもいいと漏らしつつ、歩みを早めていく。もう別にこれ以上気にする必要などないと・・・






・・・新一達と湊達は年代がほとんど一緒な事もあるが、園子と美鶴が近い位置で仲良くしていたことから小学生くらいの頃から新一達と湊達も自然と近い位置にあった。だがそんな風に近かった筈の距離に関してだが、その距離は美鶴や湊達が中学に入る時に新一達と違う中学に入ることを揃って選んだことで遠くなったのだ。そしてその違う中学に入るのを選んだ理由が何かと言えば、新一が聞けば自分のせいじゃないと頑なに認めようとしないだろうが・・・新一といると事件に出会う可能性が異様に高いことからであった。

これに関しては湊達はわりかしというか、もう新一には何らかのオカルト染みた物があるから事件を引き寄せていると信じて疑わなかった。最初こそは新一が理由で事件が起きるなんてみたいな考えになっていたが、それが間違いではないことは新一といない時間と出会した時間を比べると新一と出会った時にしか事件が発生しない事を湊だけでなく、美鶴や荒垣達も感じていたことからもう大袈裟でも何でもないと感じたのである。新一は事件を引き寄せる物があるのは確実というか、そんなもの無いにしてももう関り合いになるのは出来る限り避けたいと。

・・・元々はとある事情から厄介な事に関しては耐性のある湊達ではあったが、それはあくまでも自主的だったり自分達がやらなければどうしようもなかったから動いていたのであって、別に事件に巻き込まれたいと思っている訳ではないし、ましてや数えるのが面倒な事件に出会いたい訳ではなかった。だが新一はそれを理解しないというか認めようとしない・・・その為にもう下手に新一の近くにいるより自分達から近くにいないように離れようと決めたのである。湊達全員諸々だ。

それで中学に入学するとなった際に新一が入らないと見られていた格式の高い進学校に湊達は揃って入学していった・・・これは新一は頭は悪くはないが勉強に打ち込むくらいなら推理小説を読んでいた方が有意義であるという考え方をしていることもだが、学校の気風だったり校則が厳しい所を探偵として活動したいと幼い頃から考えていた新一からしたら選ぶと思わなかったからである。

それでその目論見通りに新一は湊達の行った中学に行くことはなく、その生活の中で新一ともだが事件と関わることが無くなったことに安堵した湊達はもう園子や蘭単体ならともかく、新一が関わるような事にならないようにと以降も高校に大学と距離を空けて関わらないように過ごしていった。その為に財閥絡みで度々出会うことのあった園子はともかくとしても、新一や蘭とは出会うことはなかった。

ただそんな風に新一と出会うことのない生活をしていた湊達ではあったが、園子から新一達の仲については度々聞いていたし新聞やテレビなどでも新一の事については取り上げられていた・・・その為にもう新一達は別れることはないだろうと思っていたらこういった結果になって意外だというようになったのである。










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