人の愛も仮面も変わるもの

「・・・中途半端な形じゃ駄目って、蘭は何でそんなことを言ったんですか?」
「蘭自身どう言葉にするべきかとか説明しがたそうに口にしていたから私達が補足する形で聞いた上でその中身から感じたこととしては、蘭としては新一君に愛想を完全に尽かした訳じゃないけどかといって元の鞘にいつでも収まる状況が続くという事は却って良くないと思ったそうなのよ。それは新一君以上に自分にとってと・・・」
「新一以上に、蘭が?」
「なんつーかまぁ、俺らは自分で言うのもなんだがたまに会ってギスギスするくらいはあっても決定的に別れを切り出すような事はなかったのもあって、時間やきっかけがあったからこうして元に戻れたが・・・これは一応俺らの間に元に戻りたいっていう気持ちがあったから出来たことだ。それが俺達のどっちかにでも無かったらこんな風に一緒になんてならなかったのは確かだが・・・新一は蘭と今すぐにでも元に戻りたいというのもだし好きだって気持ちは変わりはないだろう。だが蘭からしたら俺らのように下手に近いままでいて元に戻ろうって変わらず言い寄られたら、もう今以上に新一に対する気持ちを失いかねないらしいんだよ。それこそ今のまま新一が変わらないんならもう偶然でも顔を合わせる事すら拒否するんじゃないかって事もだが、そうする中で言っちゃなんねーことも突発的に言っちまうんじゃねーかってくらいだとよ」
「あぁ・・・だから中途半端に関わられると蘭は色々と我慢出来なくなるんじゃないかっていうことですか・・・」
湊はその意味はどういうことかを尋ねると二人がその立場から何があったのかを話していき、その中身にそういうことかと頷くように納得の様子を見せる。蘭が新一に対して色々と爆発してしまうのではないかと、自身で理解しているというよう。






・・・ここで小五郎と英理が言ったこと。これはあくまで二人が考えた推測であるが、中身自体は的外れな推測ではなかった。と言うよりは蘭が全部を口にしなかったこととそれを隠そうとして理屈的に話を組み立てようとしたものの、直情的な生活からどういうように言うべきかと悩んでいた様子から、二人が蘭が感情的になってぐちゃぐちゃな感じになっているからうまくまとめられてない・・・そう勘違いしてしまったが故に計らずも蘭は言いたくないことを勝手に言わないままで済ませる事が出来たのだ。

そしてその言いたくないことに関してだが、これは蘭や新一だけでなく優作に有希子もだが他にも様々な所が関わっていて絶対に他言無用な事実に関わっているからだ。それも一度その事実を世間に晒してしまえばその様々な所からとんでもないペナルティがかかると言われたのもそうであるが、それらを明かしたら色々ととんでもない事になるというのを理解する形でである。そしてその色々との中には親である小五郎の事もあった上で、新一の事もあった。

この事は高校二年の頃の出来事であると共に最初は新一や優作達にその事を言われないままに過ごしてきたが、その事が分かった時にその事実を黙ると共に新一の為にもと行動をしていった。そうしてその事が解決するに至るのだが、その時の事を秘密にすると蘭は様々な人達と約束をした。この事に関しては小五郎達には何も言わない事は仕方無いと受け入れるしかなかったが、事実を知って新一の事を助けたことに一種のハイな状態になった。厳密に言うと色々な違いはあるが、昔から好きだった新一と小五郎達も知らない秘密を共有して晴れて両思いになる事になったという特別感を感じてしまうことでだ。

その事により蘭はそこから結婚するまで新一と交際していく時間に時折喧嘩をしつつもそれらをスパイスに多幸感を感じながら過ごしていたのだが、そのハイがようやく切れたのが・・・子どもの妊娠及び産まれてからの生活であった。









.
22/31ページ
スキ