人の愛も仮面も変わるもの

「けれどこれであの二人は蘭には協力しないにしても新一君の味方になることはなくなったのだろうけど、そうなると最後に残る問題は今のままなら蘭は迷わないだろうけれど新一君がすんなりと離婚に納得するかどうかね・・・新一君としてはそもそも離婚なんて望んでないのは確かだろうから、蘭が望んでるならで離婚に簡単に応じるなんてないでしょうし・・・」
だが英理はそこで改まって新一の方が厄介だというような事を漏らすのだが、湊は表情を引き締めて口を開く。
「その辺りは蘭が時間をかけて意志を示していくのもそうですが、いっそもう蘭に気持ちがないと示すためにも代理人の弁護士を立てて直接の話し合いを避けるだとか、進行役を勤めてもらうのも手だと思います。ただその弁護士に関しては親であり蘭の側の妃さんが担当するんではなく、他の事務所に所属する弁護士に依頼する形で請け負ってもらうようにしてです」
「それは・・・私が信頼出来ないとかではなく、私が担当するとなったら新一君が私だから色々気安く来るだろうから、そうさせない為に弁護士を立てるようにするなら他の弁護士に頼んだ方がいいと言っているのかしら?」
「そうなります・・・妃さんが相手じゃ蘭がどんな風な気持ちや考えがあるかに条件を盛り込むかはともかくとしても、それを守らないというか俺達の仲だからみたいな事で気楽に来そうですからね。だからもしそういった何か条件を盛り込むのではという可能性も考えた上でそれを守らせたいなら、多少お金を使うとは思いますけど新一からして馴染みがない上で尚且つ厳格な対応を取れる弁護士に場を取り仕切ってもらい、妃さんは毛利さんと共に蘭の側の立ち位置で話をするべきだと思います。その方が新一が条件を何だかんだ俺達の仲だからという言葉を口にして無視しようとしても、その弁護士越しに注意させてペナルティを受けさせた時に本気の度合いを分かってもらえると思いますよ」
「・・・確かにそこまで聞くともしもの事もないとは言えないから、誰かに立ち会いを頼んだ方が良さそうね・・・」
湊はそこで英理本人ではなく弁護士を頼んだ方がいいというように話をしていき、その中身に納得出来るというように考え込む素振りを見せる。
「・・・その辺りはもうちょい時間が進んで蘭の気持ちや考えがどうなってかを聞いてからにするぞ。俺もその案がいいとは思ったが、この事に関しちゃ俺達より蘭がどうするかを決めてからじゃなきゃ意味ねーんだからな」
「・・・そうね。この辺りはもう少し時間が経ってから蘭に聞いてどうするか確認して、意志が変わらないなら私から離婚問題に強い弁護士に連絡をするわ」
「おう」
だがそこで小五郎が今はそこまでと言うと英理も気を取り直して頷き返し、湊はそんな光景に何とも言いがたげに声をかける。
「・・・今更こんなことを聞くのも何ですけど、二人は自分達の時のように離婚までは行かなくても別居でいいんじゃないかみたいに蘭には言わなかったんですか?昔の二人の事は俺も知ってますけど、今こうして共に普通にいられるくらいになった経緯は聞いてませんが、その事を考えると自分達のように別居するだけでいいしいずれ元に戻るならそれはそれで本人達の自由・・・みたいな考えになったり、蘭にはそう言わなかったんですか?」
「あー・・・それか・・・」
「その事に関しては別居をしてから少しして蘭も交えて話をしたわ・・・一応は私達のように時間がかかってもこんな形になったんだから、一年で絶対に決めるだとか絶対に離婚か再構築かの二択だけにこだわる必要はないんじゃないのって。けれど蘭はそんな中途半端な形じゃ良くないって思ったらしいのよ・・・」
そこで出てきた中身は二人の事を兼ね合いにした上で話をしなかったのかと言うものだが、二人は揃ってそんな声に何とも言いがたそうな顔になりながら漏らす。話をした上での蘭の意志なのだと。









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