人の愛も仮面も変わるもの

「これに関しては俺が個人的に感じたことですけど・・・単純に一番近くにいて両思いで結婚した筈の蘭が駄目だって言ってるのに、他の新一の事をあまり知らないぽっと出の女性が自分なら大丈夫だなんて言っても、時間が経てばやっぱり無理なんてことになるのが目に見えてるからです。そうなったら同じようなやり取りを経ての離婚で元の木阿弥どころか、更に相手もそうですけど新一にもバツが増えてしまう事になるだけ・・・新一が蘭とだけしか夫婦にならないみたいな意地をどうにか出来たと考えても、そうなってしまうくらいなら結婚をさせない方向にするのもありなんじゃないかと思ったから言ったんですよ。先に言ったもしもの時の尻拭いを自分にさせるのは新一が大人だからということで自己責任だからと認識するのもアリだとは思いますが、新一が変わっていないなら相手が面倒になる可能性が高い事を考えたらそうした方がいいと思ってです」
「成程・・・そういうことから湊君は新一に結婚せず独身でいてもらった方がいいのではと思ったということか」
「はい・・・他にも問題点は考えられますが、少なくとも俺は新一の考えを変えられないなら結婚は余程の人じゃないと勧めない方がいいと思いますし、今なら貴方達も新一なら大丈夫だなんて無責任に太鼓判を押せないんじゃないんですか?」
「「っ・・・」」
湊はそんな有希子に視線を向けながら自分の考えを明かしていくと優作が納得した様子を見せるのだが、そこで更に話を続けた中で向けた投げ掛けの言葉に二人ともに顔をひきつらせながらも否定を返せなかった。今までの二人なら新一なら大丈夫と軽く笑って言っていただろうが、湊からの話を聞いたことでもう大丈夫なんだと安易な自信など持てないのだろう。
「・・・取り敢えず俺から言いたいことは言い終わりました。後は貴方達で今後どうするかを話し合ってください。一応まだ新一と蘭は元の鞘に収まるかもしれないから今の話が無意味になる可能性も無いとは言えませんが、そうでなかったら貴方達も色々とやらなければならないことが出てくると思いますからね」
「・・・分かった。私達も色々と考えていくよ・・・」
そうして湊が終わりだと言いつつ立ち上がってから助言を向けると、優作が力無く頷き返して有希子もそれに続くように頷いた。最早何か元気良く言葉にする出来る力などないというよう・・・


















・・・そうして湊は二人の元を後にし、次はその足で英理の事務所へと向かった。



「・・・そう。湊君はそういった話をしてきたのね・・・」
「これで一応優作さん達は口だけでも擁護してくる心配はないと思いますから、安心していいと思いますよ」
「あー・・・それはいいんだが、俺としちゃ優作さん達が例え口だけにしたって口出ししてくるんじゃないかみたいなことを読み違えたのにちょっと微妙な気持ちになんな・・・」
「荒垣さん達からそのときの事は聞いていますが、多分新一と蘭の離婚が現実的な段階に来ても口出しだけでどうにかしようみたいに済ませるくらいだったと思いますよ。だから毛利さんの予想はそんなに大きく外れてはないと俺は思います」
「・・・そう言ってくれて助かるよ」
・・・英理の弁護士事務所にて、他のスタッフが帰った中で小五郎と英理が並んで座るソファーの前のソファーに腰掛ける湊。
そこで一連の流れを報告し終わってなんとも言いがたげだった小五郎の様子に湊が微笑を浮かべながらフォローすると、同じように微妙を浮かべて礼を返す。









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