人の愛も仮面も変わるもの

「・・・酷いことを言ったという自覚はあります。その上で新一は自分の事だからとか心配はいらないとか、貴方達の仕事や生活を邪魔したくないみたいな言い分があるだろうから何も言わなかったんだろうから、新一はそういった考えはないどころかむしろ関わってこない方がありがたいとかこれが普通みたいに思うと思います・・・でも毛利さんからの話を聞いた俺が感じた事はそんな新一とは真逆の物でした。貴方達からしたらずっとそれで生活してきたから今更そんな・・・と思うかもしれませんが、今更という言葉が普通になるくらいには貴方達は日本にいない時間が長過ぎたし当然になってしまった。それこそ今更日本に定住するために帰ってくるなんてもう無いだろうと思わせるくらいに」
「・・・だから毛利さんはもう私達に頼ることもそうだけれど、何か報告であったりも言う意味がないと考えていったと君は考えたということか・・・」
「で、でも私達は何かあるって言ってきたならいつでも日本に帰ってきたのに・・・」
「即日に解決が必要な何かをしなければならない時に、どう早く見ても帰ってくるだけでも日をまたぐことになるような人達を海外から呼び寄せるなんてことをすると思いますか?それに加えて日常生活で困った程度のレベル・・・特に今新一達の問題になっている家庭とか子育ての事に関して毛利さん達が親としての経験から手伝えてきたこともあって、尚更に貴方達の手助けをどうしてもすぐに借りたいなんて必要がなかったのに、そんな必要のないことの為に貴方達を呼び出すなんてする気にはならなかったんだと思いますが・・・だからこそ毛利さん達からして貴方達は頼るべき対象でも物事を相談するべき対象でもなくなっていってしまった。そして貴方達も何も言ってこないなら何も問題ないと思ったこともそうだけれど、貴方達は問題が起きなければ頻繁にとは言わなくても日常の報告や連絡もしないであったり、日本にも仕事だったり気が向いた時くらいしか帰ってこない生活をしている・・・そんな貴方達だからこそ毛利さん達もそうですけど、新一も新一で何かあった時でも相当でなければ連絡だったりをしなかったんだと思いますよ。有希子さんは何かあるならすぐに動いたみたいに言うけれど、それは裏を返せば何も言ってくれないから動かなかったとか知らなかったというのは、自分達から新一達の状況を知ろうとしなかったことになるんですからね」
「「っ!!」」
そんな二人にずっと海外に居続けた弊害ともいうよう今更であることであったり、有希子の発言を逆手に取った形で湊が指摘の言葉を向けると・・・二人は揃って衝撃に身を震わせるしかなかった。湊の言うことを否定出来なかったのもありだ。






・・・遠くの親戚より近くの他人という言葉があるが、どちらかを選んで頼ろうと考えたとした時にその近くの他人が親戚に変わったとしたなら、近くの親戚より遠くの親戚を選ぼうと思うか?・・・そう聞かれたならその近くの親戚を選ぶのは自然な流れだろう。その近くの親戚が信頼出来ないと言えるような人物でなければ尚更にだ。

その点で優作と有希子はまさに遠くの親戚という以外にない活動の仕方をしていた。一応親としてだったり祖父母として新一一人の時も新一が蘭と夫婦になって以降でも資金援助はしてはきたが、たまに帰ってきては少し触れ合うくらいでまた遠く離れた外国の家に戻るだったり旅行に行くといった事をして、また長い間日本に帰らないし子どもや孫達の事についてを気にしたようなことをしなかった事を考えれば、金銭的な物を除いて身近でいて頼れる親戚だと思うことはないのは明白だ。

故にこそ小五郎達は勿論ではあるが、新一ですらいざというときには頼りにはしていたが蘭や産まれた子どもだったりと家庭の事に関して手助けなどを求めて連絡することなどなかった。蘭との関係に関しては楽観的に見ているのはともかくとして、子どもだったり家事については小五郎達の手助けを受けることが出来ていたことからだ。

ただ新一からしてみれば本当に自分だけじゃどうしようもない時の最後の頼みの綱というような認識をされているから頼りにならないとは思われてはいないが、それでももう小五郎達からしたなら・・・優作達夫妻は遠くの親戚として頼れる筈もない存在というように成り下がってしまっていた。もう今更新一達だったりの為に日本に帰ってくるなど無いだろうと思わせるくらいにだ。









.
16/31ページ
スキ