人の愛も仮面も変わるもの

「・・・最終的に二人が決めるべきだという毛利さんの気持ちは分かりました。ただ一年くらい時間を取ると言うなら工藤の両親も一度は日本に帰って来るでしょうが、二人にはどう説明するんですか?」
「あの二人に関しちゃ心配はしてねーよ。あの二人なら話を聞きゃどうにかしたいみたいな事を思いはするだろうが、新一はあの二人の介入なんか求めちゃいねーのもそうだし大丈夫だって言うだろうってのもそうだが、そう聞きゃあの二人は新一なら大丈夫だろって勝手に思ってまたとっとと日本から出ていくだろうからな。だからあの二人は良くも悪くもこの問題には深くは関わっちゃこねーだろうし、離婚なんて結論になっても自分達が意地でも復縁させる・・・みたいなことにはならないのは目に見えてる。二人なら元の鞘に収まるだとかって形で信頼してるって言えば言葉面はいいが、実質的に俺らから言わせれば放置をする形でな」
「だから二人の事は心配していない、と・・・」
ただそこで荒垣が不安要素として優作達の事はどうなのかと挙げるのだが、全く心配してないと語るその中身に一つ頷いた・・・優作達には日本に帰って腰を落ち着けたいと思う気持ちなどないという気持ちが見えるのは以前から荒垣達も感じていたこともあり、小五郎の言ったことのようになり得ると感じて。


















・・・そうして荒垣達と小五郎の話が終わってから数日の内に、新一と蘭の別居生活の期間を一年にしようという案は蘭と英理とも話し合った上で新一にも話されることになった。その際には英理もじっくりと時間を取るのがいいと判断し、蘭も難しい顔をしながらも今後の事をどうするかについてをちゃんと考えないといけないと納得したのだが・・・そこから話を新一に持ち掛けると、それは大袈裟に時間を取りすぎなんじゃないかというように軽い様子で抗議した。そこまで大したことない問題だろうと言わんようにだ。

新一一人だけ未だにそこまでの事ではないと思っている・・・この話をしに行った小五郎はその温度差を盛大に感じつつも、一年という時間を取るのは主に蘭の為でもあると共に別に接触禁止で会うなと言ってる訳じゃない期限付きの別居生活である上で、蘭の言っている事を今までのようにじゃなくちゃんとその期間で考えろ・・・と静かながら強く言ったことにより、新一も圧されたようになりながら頷くしかなかった。

そうして改めて一年という期間を新一と蘭の夫婦関係の見直しの為に時間を使うことになって美鶴達もその事を受け入れる中で過ごしていたのだが、それから少ししてから美鶴達は小五郎達から連絡を受けた。それは優作達が日本に帰ってきたのだが新一達が現在別居生活をすることになった事を知った上で、美鶴達と話が出来ないかというような要求がきたとの事だった。






「・・・久し振りだね湊君。君が美鶴君の代役かい?」
「えぇ、お久し振りです優作さんに有希子さん。美鶴さんは忙しい人ですから事情を知っている俺が来ました」
・・・それで優作と有希子の待つ喫茶店に来たのは湊である。
そこで湊が来たことに優作は笑顔で応対し、湊も微笑を浮かべつつ二人の座る椅子の向かいの椅子に座る。
「すみません、アイスコーヒー一つ・・・さて、早速話をしましょう。大体話は聞いていますが、貴殿方が何の為に美鶴さんに話をしたいのかを聞かなくてはいけませんからね」
「っ・・・あぁ、話そう・・・」
そしてすぐさま近くの店員に注文した後に微笑を消して真剣に話を切り出す湊に、優作も有希子も息を呑みつつも頷いて話を始める。


















・・・そうしてアイスコーヒーが来てから湊は優作達からの話を聞いていくのだが、案の定というかその話の中身は新一と蘭の別居生活の事に関して荒垣に明彦達が言ったことから発展したことだと聞いた事や、それで蘭と孫がいないことから言い回しだけは丁寧な形にして不満に思っている・・・というものだった。









.
12/31ページ
スキ