人の愛も仮面も変わるもの

「・・・多分っつーかまず間違いなく新一はちょっとした事だとしか思ってねーだろうし、蘭は自分の事を分かってるからほとぼりが冷めれば戻ってくるって思ってるんだろうって思う。だが俺や英理に蘭はそんな新一の態度を見て、もう離婚を切り出すだけじゃなく実際に離婚をしないとマジで新一は心変わりなんかしないんじゃねーのか・・・そう思ったんだよ。新一からしたら蘭や孫を好きだって気持ちに嘘はねーんだろうし二人の為に働いてるってのもあるんだろうが、いくら依頼者だとか誰かが困ってるみたいに言おうとしても探偵として事件や謎に向き合いたいって気持ちが強く根っこにあるってこともそうだし、蘭なら分かってくれるからみたいな甘えがあるってな」
「・・・だから三人の気持ちとしては離婚を切り出すのもやむ無しと思ったのかもしれませんが、それを他の誰でもないあの毛利がやむ無しと見るとは・・・」
「・・・離婚云々に関してまで考えるに至ったのは園子の言葉からだと言っちゃいたが、子どもが生まれる前後から新一に色々言ってたのは俺らも愚痴って形で聞いてたんだよ。いくら言っても新一は昔みたいな笑顔で大丈夫だからとか悪いみたいなことでまともに取り合ってくれないって言ってて、それで俺らがならってことで新一にそういったことを言っても同じように暖簾に腕押しな感じでまた仕事三昧で時間を取ることなんかない・・・そんなもんだから妊娠発覚くらいから徐々に新一への気持ちが薄れていって、出産してからはそれが更に加速して今回の件でもう離婚をしてもいいってくらいに気持ちが傾いたらしいが・・・正直この場だから言うが、蘭がそういう風に思えるようになったってことに今は良かったって思ってる部分もあるんだよ。結婚する前の蘭のままだったら新一のことを仕方無いって言って許した上で、俺達に子どもを預けて付いていくみたいな事をするんじゃねーかって思ったんだが、そういった事にならなくて良かったってな」
「・・・もしそんなことをしていたら、毛利さんに妃さんは毛利の事を許せたと思いますか?二人にとっては子どもであり、自分達にとっては孫の存在を軽んじるような行動を取られたら・・・」
「・・・一回二回みたいなくらいならともかくそれが日常化してたなら、俺も英理も蘭に孫を放っておくなとか親としての自覚を持って動けって叱ってただろうな。ただそうなっていたならそんな蘭が俺達の言葉を聞くみたいなことはなかっただろうから、孫に関してはそんな環境が続くなら俺達が引き取るしもう子どもは作るなって言ってただろう・・・その点は蘭が子どもを産んだことでようやく大人になれたんだって今なら思えるよ。昔の蘭だったら優作さんに有希子ちゃんみたいにいつまでも結婚していても恋人関係みたいな感じでラブラブなままで、子どもも新一のようになってくれるって勝手に思って金だけ渡して家に置くか俺達に世話を頼んでそれで済ませようとしてた可能性もあっただろうからな・・・」
「・・・あの二人のように、ですか・・・」
小五郎はそのままの体勢でいかに自分達に蘭が思ってきたかもだが、もしも蘭が成長していなかったらという時に出てきた二つの名・・・そこに明彦もそうだが、荒垣も何とも言いがたそうな様子を浮かばせてしまった。









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