人の愛も仮面も変わるもの

・・・そうして少しの時間が経って蘭から、というよりは蘭の別居先で暮らしていた親である小五郎より話をしたいと電話が来た。ただ美鶴はこの時間に来て欲しいと言われた時間は用事があったことから、明彦とシンジを代理に送らせていただきますと伝えて二人を送り出した。






「・・・どうしたんですか、毛利さん?話をしたいとは聞きましたが、どのようなことを話したいのかまでは美鶴もですが俺達は聞いていないんですが・・・」
「その事に関してだが、美鶴から別居して暮らしたらどうかってことで今は蘭がうちで暮らしてるのはお前達も聞いてるだろうが・・・その途中経過の話もそうだが、俺達の気持ちに考えを話しときたいって思ったんだよ・・・正直なところとしてもう蘭達は離婚した方がいいって俺に英理は思ってることや、蘭もそっちの方がいいんじゃねーかって考え出してる事をな」
「・・・そうなんですか?」
・・・そうしてスーツに身を包んだ二人が訪れたのは、とあるポアロではない喫茶店。
その一角で明彦達は目の前に座る小五郎に用向きは何かと問い掛けると、神妙に返ってきた答えに二人は意外そうに目を大きくする。
「お前らが意外だっていう様子なのは分かる。俺達も俺達の意見で意外なんだろうが、どっちかっつったら蘭が離婚に前向きになってるってことの方が意外だって思ってるだろ・・・そうなったのは別居している間の新一の生活についてを聞いていったからだよ」
「・・・具体的には、何があったんですか?」
小五郎はその反応に理解出来ると言った上で新一の生活だと言い、静かに荒垣が向けた先を促す問い掛けに何とも言いがたげに頭をかく。
「・・・美鶴から別居をしたらどうかって話を蘭と一緒に聞かされた時、俺と英理は反対どころかそうするべきだって最初から蘭に推し進めた。それは何でかって言えば、新一が仕事が忙しいとか探偵として自分が動かなくてどうするんだって言うだけ言って、子育てに家事とかやらないって聞いたこともそうだが・・・困る蘭を手伝うことが多かった俺達に対して、心底から申し訳無いみたいな謝罪なんかなくてワリーなおっちゃんおばちゃんみたいな軽い言葉しか向けてこなかった事から、一回新一を試すって意味でもそうしたらどうかって思ったからだ。仕事をすることや困ってる人を助けようとする事が悪いと言うつもりはねーが、家庭を顧みない新一の気持ちをただすためにもってな」
「・・・それで工藤にも話をしたから別居になったんでしょうが、工藤はその話の時にはすんなりと納得したんですか?」
「すぐには納得しなかったな。あいつはそんなことする必要はないって言ったんだが、理由は俺は蘭を愛してるからっていうのもだが俺が探偵として動くのは必要なのは分かるだろ・・・ってことを言ってきたんだ。まぁそういった事を言われるだろうなと思っちゃいたから、そういった言葉に英理がそもそもこんな風なことになったのは貴方のそんな考えからだということや、一度距離を取って蘭の言ったことや気持ちを考えてみろ・・・と強く引かない様子で言ったことから新一もならってことで、渋々といった様子で別居をすることになったんだ。ただそうして別居を始めてしばらくしたが、話を聞いていくともう蘭と新一の二人は離婚した方がいいんじゃないかってのが俺達三人の考えだ・・・」
そこで小五郎は本題に入る前に別居になるまでの状況についてを話していくのだが、本題にいざ入るという流れの時に顔にたまらないとばかりに手を当てた。









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