人の愛も仮面も変わるもの

・・・それで園子は話すと頷き、改めて対面上のソファーに座った。



「・・・それで、毛利に何があったんだ?」
「・・・簡単に言うと、新一君との関係が悪くなってるんです。と言っても今日の電話が初めてって訳じゃなくて、この数ヶ月で結構頻繁に愚痴っぽいことを連絡されるようになっていって・・・」
「そんなことがこの最近にあったのか・・・」
そうして改めてどんなことがあるのかと聞く美鶴に園子が悩ましいというように答えると、少し眉を寄せる。
「・・・しかしどういった愚痴を毛利は向けてくるんだ?工藤を含めて結婚式以来会っていないが、さっきの電話まであの二人にそんな問題があるような事が起きるとは思えなかったが・・・」
「新一君がちゃんと職業として探偵になったのは美鶴さんも知ってると思いますけど、その新一君が探偵の仕事ばかりで家族の為に時間を使うとか家にいることがほとんどないって話なんですよ・・・私も最初に蘭から話を聞いた時は新一君が忙しいのはいいことじゃないとか、そんな彼の事を好きになったんじゃないのかって最初は茶化すように言ってたんですけど・・・それから少しして会った時に、新一君が仕事でいないかもしくは緊急の依頼が入ったからで家を出た日について書かれたカレンダーとその中身を見ると、月に一日どころか半日すら家にいないなんて時期もあって・・・」
「・・・探偵は公務員などと違い自分で休むなどしなければ不定休の仕事だという知識はあるが、そこまで家にいないのは毛利のおじ様も含めて他の探偵でも有り得ないのではないか?」
「一応そのカレンダーについては画像として携帯に残してます。これです」
美鶴はそのまま愚痴の中身についてを聞いていく中でそんなこと有り得るのかというように言うのだが、園子がポケットから携帯を取り出して美鶴に近付き画面を見せる。
「・・・これは、相当に酷いな・・・毛利の事だから工藤への不満で過剰に言っている部分もあるのではと思うが、そうだとしてもここまで月のスケジュールに空きが無いのは・・・」
「私も初めて見た時はこんなに働ける物なのかって思ったし、蘭の事だから大袈裟に言ってるんじゃないかって思って私は時間を取って新一君に会って他のことも含めて話をしたんですけど・・・それが間違いじゃなかったのが確かだってなった時は、私も呆れ返りました・・・新一君に休んでないけれど辛くないのかって聞いたら、依頼者がいるし事件や謎を解くのに疲れてられないからなって心底から疲れなんてないどころか、イキイキしてるのが分かる様子を見て尚更に・・・」
「・・・工藤がそんな性質なのは私も少なからず知ってはいるが、そんな風に嬉々として動いてばかりで家に戻らないことを当然とする工藤に毛利が業を煮やしているというわけか・・・」
美鶴はそんな中身を見てたまらず顔をしかめつつ有り得ないと漏らし、園子が嘘ではないと新一にも確認した上と呆れたように漏らした声に同じように呆れたように漏らす。蘭がそんな風に怒るのも仕方無いといったように。



・・・ただここで蘭の事だから大袈裟にというように二人が揃って言ったが、二人はそれなりに付き合いがあるために蘭が新一に対して怒る時は程度の差はあれ誇張する癖があると知っているからだ。これは新一の事を好きが故の行動だからという考えからだが、それは今となっては悪癖だというようにも二人は思っていたのだ。美鶴は元よりだが、今となっては園子もそういった考え方は良くないというよう。









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