塗り固められた嘘が暴かれた時

・・・そうして数日後、警視庁にセッティングされた会見の場の前室にて出席する面々は集まるのだが・・・そこで英理が小五郎との話し合いで決まったこととして、蘭はもうこのまま自分が引き受ける上で蘭にも小五郎の引っ越し場所は伝えることはしないし、以降のやり取りは英理を通じてしか行わないようにするし電話番号も変えて教えないようにすると伝えた。

そんな決定についてを聞いて新一達は絶句することになるのだが、それだけ小五郎がこの数日でも現在進行形で迷惑を被っている上で事実を明かそうとしなかったそちらに対し、こっちはもうお前らを信用しないという気持ちを隠さないのが、俺からの最高に皮肉をきかせたお前らに対しての真っ向からの仕返しの仕方だ・・・という言葉を伝えてほしいと言われたと英理が言えば、二人はただ顔色を悪くして愕然としながらうつむくしかなかった。伝言として聞いた話だけでも小五郎の本気を否応なしに感じさせ、そしてもう二度と元の関係になど戻れないとも感じたために。

そんな二人に対して英理は賠償の中身に関してはこの会見の後で話し合おうと言うと共に、正直な所として自分も優作達への信用はもう無くなっている事を告げた。だが小五郎は自分の非ではない程にそちらへの怒りが強い上に、弁護士として間に立ってほしいと言われたからこうしてここにいるのだということも。

そう言われて痛いところを突かれたとうめくような声を漏らすしかなかった二人だが、更に英理が賠償に関しては会見の後で話し合う事についてを投げ掛けてきたことに、新一は本気で言っているのかと正気を疑うような声を出したが・・・優作からそんな新一に探偵を辞めると共に今も苦心している事を考えれば、謝罪はともかく賠償も金を払うこともなくその謝罪の言葉だけということをすれば、自分達は毛利さんに大したことなんか一切していないというように思っているといった見られ方を毛利さん自身にもだが、周囲にもそう思っているという証明になる・・・そう言われて新一もようやくハッとして顔色を青くした。探偵を辞めざるを得ないまでに実質的にも精神的にも追い詰められている小五郎に対し、ごめんなさいというだけで済ませられるような軽い物ではないと。

そんな新一に対して英理は盛大に眉間にシワを寄せて顔に手を当てながら呆れた上で、本気で目も当てられないと呟いたことに新一はたまらずに目を背けるしかなかった。こんなにハッキリと自分が失望される様子を自分の発言から、目の当たりにさせられると思わなかったが為に。

ただそんな様子から英理が新一を除外するよう手をどけて優作に二人で賠償についてを話し合うようにと言い出したことに新一当人は手を出そうとしたが、降谷が手を抑え目を閉じて首を横に無言で振った姿に更なる衝撃を受けるしかなかった・・・もう色々と手遅れな事を理解してしまい。

しかしそうして新一が衝撃から立ち直るために記者会見の時間を伸ばすことなどなく、少し後に時間が来て新一達は用意した場に顔を出した・・・






「・・・おうおう、ひでぇ顔をしてやがる。随分と搾られたんだろうな」
・・・とあるホテルの一室にて、記者会見の生中継に映る新一をテレビで面白そうに見る一人の外国人がいた。その人物の名前はフロイド=リー、組織の情報や新一達の事を様々な所に売り込んだ張本人である。









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