塗り固められた嘘が暴かれた時

「・・・今の話を聞いた上で僕も一つ懸念事項があることに気付いたよ。それは怪盗キッドが活動をした場合についてだ」
「えっ・・・?」
そんな時に降谷が懸念事項と怪盗キッドの事についてを切り出した事に、新一は不安を隠せない様子で視線を向ける。
「今はこうして事実が暴露されたからキッドが活動や予告状を送ってきたなら君に応援をとなるかは分からないが、少なくとも『江戸川コナン』にはもう話はいかないだろう・・・しかしもし秘密のままにキッドの活動があったなら新一君が対応しようとしても、『江戸川コナン』が何で現れなくなったんだといったような声が出てくるのは避けられなかっただろう。むしろ次郎吉氏を始めとして何故『江戸川コナン』は突如いなくなったんだ、怪盗キッドが現れる際にはよく来ていたのに・・・というように疑問に持たれる可能性から、『江戸川コナン』の事を調べられるんじゃないかという事もないとは言えないとね」
「っ!?」
そしてそんな不安は当たったとばかりに降谷が言葉にしていったもしもの可能性についてに、新一は驚愕と共に蒼白の表情を浮かべてしまった。歩美達の話も確かに心境的にはまずいものではあったが、怪盗キッドの事のもしもに関しては本当にまずいことが起きかねないという危惧を感じてしまったが為に。






・・・怪盗キッドはその呼び名の通り泥棒なのであるが、目的はビッグジュエルのみでありその際にマジシャンとしてのイリュージョンを呼び出した観客にも見せつつ、その際にビッグジュエルを盗み出す事からキッドのファンだと公言する者もいる。一度盗み出したジュエルを元の場所に戻すのだから根っからの悪人じゃないだというように言う者もいる形でだ。

そんな怪盗キッドは新聞の紙面やらニュースにも出るくらいの有名人なのだが、そんなキッドがジュエルを盗む事を何度も阻止してきた『江戸川コナン』はキッドキラーとして同じようにキッドと一くくりにされるような形で有名な子どもとして認識されているのだが・・・降谷が言ったようキッドが行動を起こす回数が多ければ多いほどに、『江戸川コナン』が現れなくなった事に関して疑問に思う人が出てくるのは無いとは言えないと新一も感じてしまったのだ。

新一としてはキッドが現れるなら元の体に戻った自分が対応すると、まだ意識していないながらもそうなったら考えていたことだろう・・・しかし降谷からの言葉を聞いてしまった今となっては、もしそんなこと知らないままに危惧された事態になっていたなら恐ろしいとしか思えなかったのだ。『江戸川コナン』の事がそんな形で疑問視されてしまった上で行動した者がいて、それが明らかになったならとんでもないことになるのは容易に分かった為に。






「確かにそう聞けばボウヤというか、工藤家に関しての追求は相当になっていたのは確実だったただろうな・・・『江戸川コナン』は工藤家と遠いながらも親戚であるといったようにボウヤ達は少なからず話をしていたそうだから、どういうことだというような声は確実に来ていただろう」
「私もそう思うけれど、その時に私達が助けを出すというか組織や工藤君の身に起こった事を話していいとは許可は出せないでしょうね。というかむしろそういったことを発表したらしたでで非難が来るのは避けられないと思われるわ・・・工藤君がそんなことになったからそれらを明かすなら最初から明かせと私達は言われ、工藤君は工藤君で自分にとって都合のいいことと悪いことを事件を解決した時と違って選んで言うといったように言われる形でね」
「っ!」
そこに赤井や水無も自身らの考えを口にしていくが、特に水無の話の中身を受けて新一はビクリと体を大きく揺らした。組織の事は話せないし話したら話したでどうなるかを聞いて、良くない事になりかねなかった可能性は非常に高かったのだと感じて。









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