塗り固められた嘘が暴かれた時

「私もこの数日の間だったり今の話の中でも考えていたの・・・工藤君が何も言わないままに毛利家から消えたならどうなるのかに、工藤君達はどう考えるんだろうかということを。けれど考えれば考えるほど、そして今の話で全くそういったことを考えていないってハッキリしたことに、やっぱり貴方達は工藤君が元に戻ればそれで全部うまくまとまるとだけしか思ってなかったんだろうなと感じたのよ・・・今の状態は情報を漏らした人物がやったことだからであって、もしそうなっていなければおじさんの苦境なんか自分達はちゃんと組織関連の事は秘密にしてたんだから有り得ないと思ってただろうことも相まってね」
「うっ・・・そ、そんな・・・ことは・・・」
「否定したいけど否定出来ないでしょう?・・・そして私が言えたことじゃないのは分かっているけれど、優作さん達に博士も工藤君や組織に関してを言わないようにしてきたのはこれまでの話もまとめて考えるなら・・・」



「結局の所として私達は工藤君や組織に関してを秘密にすれば何でもかんでも丸く収まると思い込んでただけで、実際にはただおじさんの事も含めて他の事なんてろくに考えてなかっただけってことよ」



「「「「っ!!」」」」
・・・そうして灰原が今までの全てをまとめるように自分達がいかに認識が甘すぎたのかというように評した言葉を口にしたことに、何とか反論したそうにしていた新一も優作達も一斉に衝撃で視線を背けてしまった。痛いところを突かれた所ではなく、一切大袈裟なしにその通りでしかない答えそのものを言われてしまったというよう。
「・・・これに関してはおじさんの事もそうだけど、歩美ちゃん達の事もそうよ。工藤君はおじさんの事で頭がいっぱいだったから博士の気遣いもあって聞いてないでしょうけど、彼女達はどうにか私達の所に来たい来たいと何度も電話をしてきていたらしいわ。ニュースが本当なのかどうかを聞きたいし、あいつらと会って話をしたいってね」
「っ、本当なのか博士・・・?」
「本当じゃ・・・ただマスコミがいるから来てはならんと言ったし、親御さんにも止めてもらうように電話して頼んだのじゃが・・・そこで親御さん達全員からもれなくどういうことだと言われたんじゃよ・・・マスコミが少年探偵団として一緒に活動してたうちの子どもにしつこく取材してきているが、コナン君の事を悪く言うような人達に怒っているけれど、親である私達から言わせれば何も言わないまま子ども達を巻き込んだから家族も含めてこんなことになってるんだというようにのう・・・」
「うっ・・・!」
ここで灰原が歩美達に関してもあると阿笠に話題を振るように視線を向けると、苦い様子を見せながらこういうやり取りがあったと漏らす様子に辛そうに声を漏らす。気を使われたからというにしてもそんなことを言われていたことを知らずにいたことや、灰原に言われたよう元に戻ればそれでいいと思っていたことの弊害を知らされて。
「・・・歩美ちゃん達の事を聞いた時は正直私も申し訳ないと言う気持ちを抱いたし、組織関連の事を秘密に出来たまま私達が帝丹小学校から連絡も出来ない形で消えたなら、彼女達はどうしてどうしてと不満だったり悲しんだりといった気持ちを抱いていたでしょうね。貴方からしたらそうなってもどうしようもないとか仕方無かったみたいな言い分はあるかもしれないけれど、今となって言えることとしては貴方も私も歩美ちゃん達と仲良くなって関わりすぎていたのよ・・・数ヶ月程度の間であるとはいえ、もうあの子達は私達といることがこれからも普通だと思ってしまうくらいにね・・・」
「っ!」
ただ灰原がそこで自分も歩美達に対する辛さを滲ませるように仲良くなりすぎたと漏らしたことに、新一はたまらず視線を反らしてしまった・・・口では色々言いつつも何だかんだで歩美達と一緒にいることを心地いい物としていた灰原の姿を見ていた新一だが、それが却って今の重荷になっているという様子は自身にも身につまされる物があると感じた為に。









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