塗り固められた嘘が暴かれた時

「・・・話を戻すけれど、一応色々な話をしたこともあって蘭がそういったことはうちではしなくはなったけれど、もしこの人との生活をあそこで続けるというのを強行して、そんなことになったら目も当てられない事態になると思ったの。そして何よりもうあそこに住むこと自体この人にとってもだけど、蘭にとっても良からぬ事態が起きてもおかしくない・・・そう思ったから私は蘭を引き受けるし、もうこの人に無理をさせるのは良くないと思ったのよ。この数日で蘭が新一君はそこまで悪くないという考え自体は変わっていない事もあって、これ以降二人を一緒にいさせても良くないだろうとね。だから貴方・・・貴方は一先ず探偵を辞めることや事務所を閉める事もだけど、ゆっくり住める場所を探すことに専念して」
「すまねぇな、英理・・・」
「お、お母さん・・・お父さん・・・!」
そうして英理は蘭を自分が引き受ける方がいいと言った上で小五郎に優しい言葉をかけてその言葉に瞳に光が灯り、微笑を浮かべる姿に蘭は衝撃を受けて身を引いてしまった・・・今は『コナン』として潜り込んでいた新一が行動していったことから前よりは関係性は良くなっているが、それでもここまで二人がこんなに思いあう姿を見ると思っていなかった為に。
「・・・ということは今さっき言ったように、おじさんは毛利さんだけじゃなく工藤君や優作さん達とも距離を取るということにするのかしら?」
「そりゃな」
「「「「っ!」」」」
ただそんな蘭の様子に構わず続けてとばかりに灰原が新一達との関係についてを問い掛けると、小五郎が瞬時に瞳から光を消して肯定を返した事に工藤家と阿笠は揃って衝撃に身を引かせる。
「・・・何を驚いているのかしら?話に出ていたのは貴方達も聞いてたでしょうし、これまでの流れとしても決してまた仲良く・・・なんて風に都合良くなる展開じゃなかったのは貴方達も感じていた筈よ」
「そ、そんな言い方ないだろ灰原・・・」
「だったら貴方、これまでの話を聞いてそうなるというかそう出来るとでも思っていたの?テレビやネットでもある程度はおじさんの事は知っていた筈なのに、それで貴方達に対していい気持ちなんかある筈ないとくらいは感じていたでしょう?」
「そ、それは確かにそうだけど・・・俺はあんなことが起きなけりゃ、そもそもこんな風になるなんて思っていなかったから・・・」
「あんな事が起きなければ、ね・・・なら聞くけれど、今回の事が起きなかったら貴方組織の事とか自分がおじさんを眠らせて推理してたとか明かしてたかしら?」
「・・・え?」
そんな反応に冷やかな言葉を灰原はぶつけていき新一は何とかというように返していくが、もしもの事についてを問い掛けてきたことにキョトンとした様子を浮かべた。そんなこと考えていなかったとばかりの様子で。
「・・・その事に関しては横から失礼するが、組織関連の事に関しては絶対に言わないでくれと壊滅をさせた時に言ったようにこっちは頼んでいただろう・・・ただ君がそう言ったこともそうだが、この数日での様子から考えて哀ちゃんが何を言いたいのか分かったよ・・・言い方はともかくとしても、哀ちゃんは新一君に『江戸川コナン』という存在がいなくなった後の毛利さんが名探偵でいられるのかということだったりを考えていたのかと言いたかったんじゃないのかい?」
「えぇ、言葉を選ばずに言うならその通りよ・・・工藤君の事だから何も言わずに消えるのを優先して、その後のおじさんの事なんて一切考えてなんか無かったんだろうってね」
「「「「っ!?」」」」
だがそこで降谷が察したというような言葉に灰原が肯定した上で補足をしたことに、新一達は一斉に顔色を青くした・・・今の言葉でようやくCIAに流された情報がなかった場合の事を考え、新一が元に戻った後の小五郎がそのまま以前の探偵に戻れるかなど有り得ないと思って。









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