塗り固められた嘘が暴かれた時

「・・・それでそこから考えていって、もう探偵を続ける気にはならないって思ったんだよ。そんなことになるくらいならいっそ探偵なんざ辞めて、もうポアロの上のスペースも全部貸し出す形にしてこの米花町から離れてやろうってな」
「えっ!?な、なんでそこまでするの!?」
「・・・いくら俺が駄目な奴だからって言ったって、平気で事務所の入口にあんなイタズラをする奴が来るくらいだ。それで俺が探偵を辞めた所で一般人になったんだからイタズラは止めようなんて奴ばっかになるんじゃなく、むしろ逃げた奴を制裁って大義名分でイタズラが激しくなる可能性があるって思った上で、安室にもそうなるんじゃないのかってここに全員が集まる前に聞いたら新一が関わってきた事件の犯人の例も考えると、大義名分があるからと粘着質に行動してくることは決して有り得ない訳じゃない・・・そう言われたから探偵を辞める事もそうだが、もうあのビルに住むことも米花町に残らないようにするとも安室に先に伝えておいたんだよ。あそこに残ったって辛いことになるだけだって思ってな・・・ただそう考えるとどうしても出てくる問題が、蘭やお前らとの関係をどうするかってもんだ」
「「「「っ・・・」」」」
だからこそ探偵を辞めると降谷に話を聞いた事も含めて米花町を離れることも決めたと言う小五郎だが、そこで新一達の方を向き関係と言ったことに悲痛そうだった蘭もまた圧されたように息を呑んだ。未だに視線を向けているのに何も映してない瞳を見たのもあいまって。
「・・・まぁつっても俺は新一達とはもう関り合いになりたくなんざねーし、蘭も蘭で俺が新一達と関り合いにならないことも含めて呑めないってんなら、英理には悪いがこのまんま英理の元で暮らしてもらいたいと思ってる」
「なっ・・・!?」
「本気なの貴方・・・!?」
「あぁ本気だ・・・ただ蘭がどうなるかって部分も併せて言わせてもらうなら、どうせあそこに俺と共に住み続けた所でそんなイタズラだとかもそうだが誹謗中傷を蘭にも向けてこられる可能性だって大いに有り得るんだ。俺の娘ってだけでお前も新一に騙されてた馬鹿なんだろうって風な事を言われるとかな」
「「「「っ!」」」」
ただもう気持ちや考えが固まっているといった小五郎の言葉に蘭や英理が正気かというように漏らすが、続けられたもしもの可能性が蘭にとって残酷な事になるとの事にまた周りの面々も一斉に息を呑んだ・・・小五郎が辛いだけで済むならいいと言ってはいけないのだろうが、まず間違いなく蘭もまた小五郎の子どもというだけで言われなき非難を受けるということに。
「なぁ蘭・・・お前、俺に言ったよな?俺と新一のどっちが悪いかって言えば、気付けなかった俺が悪いんだって。けどよ・・・今はまだ何も言われてねーかもしれねーが、お前も新一のやったことに気付いてなかったってことにお前も同じようなもんだろって言われるだろう・・・そこでお前が新一は悪くないって言うだったり自分は意固地なお父さんとは違うから悪くないって言いたいかもしれねーが、端から見りゃお前は新一が好きってだけで自分も含めて都合の悪いもんは否定する女って風な見られ方をするだろうよ。お前からすりゃそれが真実だって言いてーんだろうが、そう言えば言うほど俺が言うのもなんだが俺だけを悪者にしたい娘なんだってな」
「そっ、そんな・・・!?」
「そこで更に言うならあそこにずっと俺と一緒に住み続けてこの事でずっと険悪だって言うんなら、尚更に俺を悪者にしたいんだろうっていうように言われるだろうな」
「・・・そう考えて貴方はもうあそこに住むことはしないし、これからは蘭と一緒に住まない方がいいと思ったのね。貴方自身の気持ちもあるのもそうだけれど、蘭がそんなことになる可能性が高いからと・・・」
「そういうことだ」
そこで蘭に視線を向けて冷静を通り越した平淡な口調で新一を庇い続けたならと話していく様子に、蘭は絶句をするが反対に英理が難しげな表情ながらも理解をしたというように漏らした事に頷き返した。一応自分の事もだが、蘭の事も考えた発案なのだと。









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