塗り固められた嘘が暴かれた時

・・・それで数日と言った時間が経つのだが、日常を過ごしてテレビやネットを確認していく中で少しは気を持ち直すかと思いきや、度々に頭を抱えていった。何せ出てくる話題が自分が表に姿を見せないことに対する罵詈雑言やらがあったこともそうだが、何より小五郎に対しての厳しい言葉ばかりだったのだ。

テレビはまだ良かった。あまりにも酷い言葉は編集でカットされたり、まだ気を使ったような表現で言われていた為に・・・だがネット上での声に容赦なんて物はなく、小五郎に対して酷いなんて言葉一つで言い表せないような罵詈雑言が溢れ返っていたのだ。マイルドに言っても子どもにいいように操られてきた勘違いオヤジだとか、名探偵じゃなく迷探偵だといったようなだ。

そして更には毛利探偵事務所の入口に夜に来たのだろう形でスプレーで過激な事を書かれていたというニュースを見た時には、もうたまらずに新一はテレビやネットから目を反らしてしまった。こんなことを自分がきっかけとして起こしたかった訳じゃない、こんなものを見たくないという気持ちでだ。

しかしそんな風に新一が苦心している中で灰原が研究室から出てきて、薬が出来たから飲むようにと言ってきた。データから見てこれでまず元の体に戻れるからと・・・それで新一はこんな気持ちで飲みたくなかったというようには言いつつも、その薬を受け取って飲み込み・・・少し経って元の工藤新一の体に戻った新一は複雑さを隠せないままに表情を歪めるしかなかった。こんな気持ちで戻ることになるとは思わなかったと。

ただそんな新一の事を慰めることなく灰原は新一の経過観察をすると共にもしもの事があってはいけないから自分はまだ飲まないと告げた上で、自分も関係者が集まる場には出席するからと簡潔に言って研究室に戻っていった。最早新一に対しての気持ちなど一切ないというよう。


















・・・それで数日後、新一達は安室からの連絡を受けて一ヶ所に集合する事になった。そしてその集合場所というのは警視庁の中の一室であり、新一達や小五郎などは表を歩くだけでもマスコミやらが騒いで道を塞ぐだろう事から安室の手配した公安の人員が運転する車に乗ってそこに向かうことになった。



「・・・」
「「「「っ・・・!」」」」
・・・そうして広い会議室の中に入った新一達だが、入口から逆方向の部屋の隅に視線を合わせようとせず一人で腕組みをしながら立つ小五郎の怒りのオーラが可視化されているのではないかとの様子に、入口近くにいた工藤家三人もそうだがその近くにいた蘭すらもが声をかけることが出来ずに戦慄していた。あまりにもこの数日で変わりすぎた小五郎のその様子に。
「・・・集まりましたね。では皆さん、今から我々の間で決まったことについてをお話したいと思います」
ただそんな様子についてを口にはせず、中央に備え付けられた長机の先の横に赤井と水無がついた安室が話をすると告げた。


















・・・そうして安室は公安にFBIにCIAの間でどのような話し合いがなされた上での決定が出たのかを告げるのだが、その決定とは・・・今回の事を改めて言える範囲でマスコミに発表するようにはするが、その中での決定として安室改め降谷がその発表役になると共にそれが終われば公安から降りることになるとなったと。

その決定に関して新一達は何故と言ったが、事が明るみになっていないなら誤魔化すだったり出来ただろうが、公安が『江戸川コナン』と名乗っていた工藤新一を保護せずにいたばかりか協力までしてもらったことを考えると、公安の代表として動いていてそうすると判断した降谷が責任を持って公安を辞めると発表するくらいしか、警察としては人々の熱を冷ます手段はないというように結論が出たのである。









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