塗り固められた嘘が暴かれた時

『・・・見たかい、テレビを。君がどのテレビ局の番組を見ているかは知らないが、他のテレビ局も大体同じような事を放送している・・・君の事だけじゃなく組織関連のことも含め、奴らがやってきたことや奴らを僕らが検挙したこともだ。おかげでネットも今大荒れも大荒れな状態だ』
「なっ・・・や、奴らの事は俺達の事も含めて表沙汰に出来ないって話になったんじゃないのか・・・!?」
そこで安室が苦渋を滲ませた声で他も似たどころか組織の事すら出てると言ったことに、話が違うんじゃないかというように新一は口にする。






・・・組織の事は表沙汰にはしないし発表しない。これは新一としては不満な事ではあったが、話を聞いていく内に納得というか納得せざるを得なかった。何故なら組織のやってきたことは新一達を小さくした薬の事一つ取ってもあまりにも普通から逸脱している事もそうだが、ベルモットにピスコに加えて水無が組織にCIAのスパイとして入り込んでいたことも発表すると、様々にややこしいことが出てくるからだ。何故なら水無はCIAに組織だけでなく、テレビ局のアナウンサーも役割があったからとは言え勤めていた為、それらを明かせばその事だけでも各所に大きな波紋が起きて沈静化が容易に出来ないと見られたからである。

それに加えてFBIやCIAに公安といった本来表に立つべきではないし表に出すことすら望まれる物ではない存在が多く、安室が公安だと公表されるだけで公安として活動出来なくなるデメリットがある・・・まだ他にもあるがそういった事を聞いていったことにより、新一は組織の事を表沙汰にしないと決めたのである。自分の身の安全だとかもあってだ。






『・・・それに関しては誰がこんな情報を流したのかは見当はついている。それは組織の情報をCIAに売った人物だ』
「なっ・・・ど、どういうことだよ!?」
『こうすることも彼からすれば予定通りだったんだろうということさ。何せ組織のやってきたことやその構成メンバーだったりだけでも表沙汰になればセンセーショナルであり、その情報を売ったら結構な金になるのは容易に想像はつく。けれど組織が存在している時にそんなことをすれば、奴らは当然隠蔽に報復といった行動を取ったことだろう・・・だから僕らが組織を壊滅させたのを見計らってマスコミに情報を売れば、奴らの驚異に身を晒すこともないままに金を手に入れることが出来るというわけさ』
「そんなっ・・・卑怯じゃねーかそんなやり方!」
『確かに僕としても気に入らないという気持ちはあるが、今となってはもう後の祭り以外にない・・・ただ僕達にとっても問題なことには違いないが、それ以上にこの問題は君だけじゃなく君の周辺にとっても大問題だ』
「えっ・・・?」
ただ安室が犯人についてとその行動についてを言葉にしていく中身に新一は怒りを露にしていくが、その中で大問題と言われた事に怒りではなく戸惑いを浮かべる。
『・・・今テレビをつけたばかりの君はどういったことが世の中に広がってるか把握しきれてないだろうが、君の事については戸籍がないということもそうだが・・・君が麻酔銃らしきものを使い毛利さんを眠らせて推理していたこと、君の眼鏡を外した顔が小さい頃の工藤新一と瓜二つということ、そして組織が怪しい薬を開発している事やその中の一つに飲んだ対象者の体を小さくする効果がある・・・といったような事も放送された番組もあったそうなんだよ』
「なっ・・・!?」
だが安室が意を決したように言葉にしていった中身に、新一は絶句と共に顔から血を一斉に引かせてしまった。その三つについてを外から見た者がどういうことか繋ぎ合わせようとしたなら、少し考えたならすぐにこういった結論が出るだろう・・・『江戸川コナン』は実は組織とやらに小さくされた工藤新一であると同時に、その工藤新一が毛利小五郎を麻酔銃で眠らせていたことから『江戸川コナン』として雌伏していた事もあって、毛利小五郎を眠らせて探偵役にして利用していったのだというよう。









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