塗り固められた嘘が暴かれた時

「・・・というわけなんだけど、安室さんは気に入らないって気持ちがあるのは分かるけどその気持ちを呑み込んでCIAやFBIの人達と協力してほしいんだけど、どうかな・・・?」
「・・・大丈夫だよ、コナン君・・・確かに気に食わないという気持ちはあるが、それでもボスの居場所を始めとしたいくつもの情報があるという事やそれを元に赤井達が僕らにも協力を頼む形で組織の壊滅に踏み切ると言うなら、呉越同舟もやむ無しと考えると共に公安も動くように働き掛けよう・・・僕としても唯一無二の機会を逃したくないからね・・・」
「ありがとう安室さん・・・」
・・・そうしてドライブをしながら話をしていき、都内から離れた人気のない港にて車は停車した。
そこで恐る恐るといったようにどうかと確認を向ける新一だが、安室が気に入らないという気持ちを滲ませながらも了承を返したことにホッとしたように頭を下げた。
「それは別に構わないよ。君からの言葉でなければ僕もこんな素直には頷いていなかっただろうからね・・・ただそれと同時にCIAに情報を売ってきたという存在について、赤井の言葉もあって僕も心当たりがあるから信じてもいいと思ったんだよ。心当たり通りの人物なら生半可だったり適当な情報を渡すような事はないだろうから、それらは本当なんだとね」
「・・・安室さんもその人の事は知っているの?」
だが首を横に振りつつ提供者についてを知っているといったように漏らす安室に、新一は聞きたいというように声をかける。
「まぁ一応僕もそれなりに情報は持っているからね。というかその人物に関して一時期組織に勧誘出来ないかというように言われていた時もあったんだよ」
「っ・・・それってその人物を使って誰か偉い人だったり使えそうな所の陰謀を暴かせて、秘密を握ってるから言うことを聞けってするための人材にしようとしてたっていうこと?」
「そんなところさ。でもその人物も裏社会で有名なだけあって簡単に捕まらなかったから、接触するようなことがあればそうするという程度に収まっていたんだが・・・そういった行動から組織の存在をその人物に知られたこともあって、利益を上げるのも勿論だが自分を利用させまいとして組織の事を暴いていってCIAに情報を売ったんだろうね」
「でも何でCIAになんだろう・・・?」
「その辺りは大方赤井が言ったよう、CIAに何か自分の安全も含めた情報で取引出来る材料があったからだろうね。でなければ取引なんてことはせず捕縛して情報を吐かせたといった報告が来た筈だ」
「やっぱりそうか・・・」
安室はその声に自分の知ることもだが推測も併せて答えていき、新一がそれらを受けて考え込むように顎に手を当てる様子にフゥと軽く息を吐く。
「・・・君がその人物に色々な意味で興味を抱いているのは見ていて分かるし赤井もその正体については何も言わなかったんだろうが、君の為にもその人物について知られても構わない情報を言わせてもらうが、その人物は日本人ではないし日本以外での活動が主だ。だから君がその人物を追いたいと思って行動したいとしても、まず海外に行けるようにしないと到底捕まえるどころか追うことすら出来ないだろうね」
「そうなのか、くそっ・・・」
「・・・まぁ今はその人物については置いておいてくれ。僕はこれから公安の方に君からの話をして協力をする事についての話をするから、その話がまとまったら君に赤井達との仲立ちをしてもらいたい。組織の壊滅の為にね」
「・・・あぁ、分かったよ」
そのまま捕まえるのは色々と難しい旨を伝えると悔しげな様子を見せるが、すぐにやってほしいことを伝えると新一は仕方ないと言った空気を表情と共に引き締めてから頷いた。今やることは組織を壊滅させるために動くことだと。



(・・・何かあまりいい予感がしないな・・・フロイド=リーの評判や推測される能力の高さもあるが、このコナン君の様子を考えるとこれで終わりとはとても・・・)
ただそんな様子の中で安室は内心で言葉にせず、嫌な予感を感じていた。新一にはその人物の名前であるフロイド=リーの事は言わなかったが、今の新一の様子に何かまだ良からぬ事が起きるのではないかという半ば確信めいた予感のような物を・・・









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