塗り固められた嘘が暴かれた時

フロイド=リー・・・国家や重要機関などが隠蔽する情報を暴く者。こいつに秘密を暴かれた者は青い(フロイド)顔で絶叫、絶望すると恐れられる。彼にとって暴いた陰謀は最も高く売れる所にさばく商品でしかない。

今まで彼に暴かれた陰謀の数は多岐に及び、表社会に裏社会を問わず彼に青い顔にさせられた者もまた多数に存在している。だが彼がそうして陰謀を暴くのは高く売れるからというだけではなく、陰謀を暴いて人を知って暴くことと同じであり自身が全能だという全能感を満たすモノだという行為だと感じているからであった。

そしてそれが故にフロイド=リーは陰謀を暴くことにこだわり、暴かれた誰かなど気にせずそれらを晒していく。彼にとっては人を知り暴くことが望みであり、それが当人達にとっての正義なのかどうかにその後の事を気にする意味などフロイド=リーにはないのだから・・・


















「・・・赤井さん、どうしたんだよ急に俺を呼び出して・・・それにあのマスクはどうしたんだよ・・・?」
「急を擁する事態が起こった。俺があのマスクを付けて『沖矢昴』というように振る舞うのもそろそろ終わりになりかねん事態がな」
「えっ・・・い、一体何が起きたんだよ・・・!?」
・・・とある日の工藤邸にて。
そこに呼び出された新一は『江戸川コナン』としての演技など最初から必要ないとばかりに『沖矢昴』のマスクを外した赤井にどういうことかと話し掛けるが、返ってきた緊迫感の伴った返しにどういった意味なのかと問い返す。
「・・・昨日の事だが、水無から連絡が入った。それは要約すれば組織のボスの事やその本拠地を始めとしたいくつもの情報が手に入ったというものだ」
「な、何だって!?どういう事だよ!?」
「詳しく話を聞くと奴らの情報を掴んできた者がCIAに情報を売り込んできたらしい。勿論最初こそはその情報についてに疑惑の目を向けていたそうだが、水無に小出しにされた情報が本当かどうかを確認させた所、信憑性はかなり高いとなった事でその情報を買うと決めたらしいが・・・そこで出てきたのがそんな情報だったとのことだ」
「そ、それは・・・仮にその情報が本当だっていうなら、それは組織を裏切った誰かがその情報を売ったのか?そうでもないと奴らの情報なんてそうそう簡単に手に入らないと思うんだけど・・・」
「・・・その事についてだが、その情報提供者の名前についてを聞いてむしろ俺もこいつならやりかねんと納得したものだった。そして同時に奴なら組織の事を調べて暴きたててもなんら不思議ではないとな・・・」
「・・・赤井さんがそこまで言うような奴がいるっていうのか・・・?」
赤井はそんな新一に経緯についてを説明していくが、心当たりについてを口にしていくどこか苦さを感じさせる様子に新一は不審げに眉を寄せる。赤井がこんな風な感情を分かりやすく滲ませるような様子など新一は見たことなかった為に。
「・・・なぁ赤井さん。その情報提供者って誰なんだ?」
「・・・悪いが、それは言えん」
「・・・どうしてだよ?」
「奴は一般的には名前は知られてはいないが、それは名前もそうだが奴がやってきたことが一般的に知られるであったり広まるのを防ぐためだ。一応FBIも奴の事については知ってはいるが、奴の名前もだがその行動がどのようなものかを表に知られるだけで面倒になるのは目に見えてるからな」
「・・・一体何をやったって言うんだよ、そいつは・・・?」
「そこについて中身は言えんが、奴のやってきたことが何かを分かりやすく言うなら秘密にしたい陰謀を暴きたてる事だ・・・これだけを聞くならボウヤからしたら正しいことをしているように思うかもしれんが、中身としては国が不都合だと隠したものだったりこうした方がいいだろうとしたものを白日に晒すといったことを、高い金を出して買ってくれそうな所に売るといった形で提供している。つまりそいつはボウヤからしての正義感や義務感から陰謀を暴いているんじゃなく、あくまで自分の為にやっているんだが・・・だからこそそういった後ろ暗い奴らの思惑も加わる形でそいつは各国からマークされているんだ。勿論いい意味なんかじゃなく、早くどんな形でもいいからそいつの口や行動を封じたいという意味でな」
「っ・・・!」
そんな新一はその人物の名前ややったことについてを釈然としないながらも聞こうとしたが、赤井が名前は言えないとしつつもその行動がどれだけの物なのかにどう思われているのか・・・それらを口にしていった事に、新一はたまらず苦そうに歯を噛み締めた。やったことの中身が純粋な善意でないことに対する怒りもあるが、反面としてそんな後ろ暗い事をしている奴らに世界規模で喧嘩を売るも同然なことをしているのだと唖然としてもしまったが為に。









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