危機感の喪失に対する対処(後日譚)

「・・・まぁそれでも蘭ちゃんがこれからの生活で隆景にも慣れてきた上で、事件に巻き込んだとしてもこれが普通の事だからというように言ってくることもないとは言えないだろう。不安な部分があると言えばそこになるんだがね」
しかしそこで大殿は少し表情を歪め、蘭の事について不安だと首を横に振る。






・・・『江戸川コナン』が毛利家にいる頃、事件によく出会う中で蘭が第一発見者という立ち位置になった際は死体を前にして悲鳴を上げることは普通だったと大殿は聞いていた。この辺りに関しては女子高生であることもだが、別に新一のように探偵になりたいとも事件に出会したいという気持ちも持ち合わせていなかったからこそであった。

だがそんな蘭もこの五年少しという時間が経ったこともあるが、小五郎を散々にこき下ろして気まずい時間を経験しても尚新一と一緒にいることを選んで事件と数えることすら面倒な程に出会ってきたことで、言い方は悪くとももうそんな死体を見たからというだけで悲鳴を上げるようなか細い神経ではなくなる程事件に慣れてしまったのである。その事に関しては散々にこき下ろされる前くらいの時にはもうそういったようになっているとは小五郎から大殿は聞いていた。

だからこそというか不安要素として挙げられるのが小五郎には流石に以前の事から声掛けは簡単にはしないだろうが、隆景に関してはもし親類としての付き合いをしてる時に偶然に事件に出会うことになったなら、今の蘭の考え方からして新一がいるから大丈夫と平然と言うだろうこともそうだが・・・隆景に小五郎の事を言われても、隆景を親族で姉弟なのだからと平気で巻き込みにかかることもだがそれをきっかけにして、小五郎に近付いてくることだ。

勿論というか隆景は遊びで小五郎の元に来たわけでもなくて仕事がある身であるし断る事は出来るが、そんな事件への慣れに新一への揺るぎない信頼から小五郎との関係性も考えてそうしてくる可能性は決して否定出来ないと見ていた。こればかりは普段の生活で関わることがないようになる事からどうしても拭いきれない不安点ではあった。ただ・・・






「・・・ま、そういったことがあっても二人が蘭ちゃんや新一君達に強く付き合わないというようにはね除ければ問題はないだろうけれどね」
しかしすぐに大殿は大丈夫だろうと微笑を浮かばせる。二人ならそこまで心配はないだろうと。






・・・隆景もそうだが小五郎も今となっては蘭達を信用しないという点に関しては、もう揺るぐことはない。その事に関しては大殿もその強さが確かだということは理解している。

だから二人なら余程の事がないならそういったことがあってもはね除けるだろうが、ただ何か起きる可能性が完全に失われた訳ではない事は大殿も考えてはいる・・・有り体に言うなら隆景が新一達に関わることを避けていると察されて、蘭が怒り出して拳を振り上げる事だ。

だが隆景はその見た目からは想像がつきにくいが蘭より遥かに実力はある上に痛みには強いし、そうなれば最後の一線として越えてはならない所を越えてしまった代償としていよいよを持って蘭や新一達との距離を様々に空けるための最終手段を使うつもりでいる・・・だからこそ何もなければそれでいいとは思いつつも、何かあれば迷わずにそうする予定で大殿はいる。身内から完全に蘭を除外し、小五郎達という身内を守るための行動を起こすと。









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