危機感の喪失に対する対処(後日譚)

「・・・ま、いいか。もう蘭も新一の元に行っちまったし、優作さん達ももう節目節目くらいにしか戻っちゃこねーだろうからな。そして大殿さんから紹介されてうちに来る養子と話がまとまりゃそうそう気楽には蘭達も俺の元には来れなくなるっつーか、来ない方がいいって思わせるようにしていく予定だからな・・・この辺りはゆっくりとやっていくか・・・」
ただもうそうそう関わることは無くなるだろうと共に、自分も相手側にそうする気持ちを失わせていく・・・そう冷めた表情で口にしつつ、小五郎はもう後はゆっくりしようと部屋の中へと戻っていく。






・・・もう優作達に対して友好的な気持ちもだが信頼も持てるはずもない小五郎としては、養子縁組に関してを本気で押し進めると決めた上で、こういったことがあったというように大殿にも連絡をした。もう蘭に対しての諦めもついた上でそれを悟らせないようにするため、ちゃんと養子になる人物を受け入れるようにすることを。

大殿はその経緯となる話を聞いた上で小五郎の本気の度合いを確認したことで候補となる人物を早く紹介して養子縁組を出来るようにすると言うのだが、分かっているだろう上で敢えて言わせてもらうとそう決意したならばこそもう後に引くような事は出来ないと認識するべきだと告げた。下手にこれから時間を経てもし蘭達と和解したいだとか見直したといったような考えを抱いたとしても、それらについてを明かして蘭達があっさり許す可能性がないわけではないにしても『江戸川コナン』関連の事を明らかにしてこないことを考えれば、そういったことを言い出しても決裂もそうだがそれ以上の事態になり得ることも有り得るからと。

小五郎はそんな大殿の言葉にちゃんと分かっている上で迷わずにそうすると返した・・・優作達からすれば悪意だったり事情があろうが無かろうが向こうがこちらに何も言わずにこの五年来たのだし、もうこちらも何も言わない代わりにこちらも何も言うつもりもないしその姿勢を変えるつもりはないと。

そう聞いた大殿はなら安心だというように漏らした上で早くに養子の問題を進めるようにすると言って電話を切り、小五郎は表情を少し緩めたがすぐに引き締め直して頷いた。大殿が味方である事は違いないが、それはあくまで味方というだけであって自分がちゃんと行動しなければならないということを思い直して。


















・・・そうして時間にして二月といった程度の時間が進み、小五郎の元に大殿が紹介した養子が来ると共に元々蘭が使っていた部屋に住むことになった。これは元々スペース的に部屋の空きもない事もそうだが、元々は他人であると共に大人という立場にいる存在と『江戸川コナン』の時のように寝るスペースを共有する事や、自分だけベッドを使うといったような事を避けるにはそうした方が妥当と見てだ。

ただその事に関しては養子がいない時に蘭が言いたいことは分かるけどと自分の部屋を勝手に使われたことに複雑だとしながらも新一を連れて文句を言ってきたが、今あそこで暮らしてないお前の気持ちの為に養子になったあいつもそうだが俺を我慢させるのかと言うと、すぐに二人共に言葉を失わせて詰まらせるしかなかった。一応義理とは言え家族になったのだが元は他人で、今は結婚をして家を出ている蘭の気持ちを優先させる判断の為に窮屈な想いをさせるなど、小五郎以上にそんなことをさせることにした蘭の印象がどうしても悪くなるのは避けられないと見て。

そうして二人はそこからうまい言葉を返せないままに小五郎の元を去っていくのだが、その様子にまた大いに呆れると共にこれで自分の元に気軽に来るような事は無くなるだろうとも見た。蘭もだが新一もあいつといい関係性を築くつもりでいたのだろうが、言おうとしたことがあまりにも自分本意であったことを気付かされた上に、蘭の部屋がもう使えない事から敢えて毛利家に泊まる為に戻るような理由は工藤邸がそこまで離れてないのもあってあるはずがないと。









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