危機感の喪失に対する対処(後日譚)

「ただまぁお前はその辺りの事は気にすんな。お前は新一のとこで暮らすし工藤家に嫁入りしたんだから、その事に関しちゃもし話し合いがこじれたりとか面倒になっても巻き込むつもりはねーからよ」
「で、でもそれは・・・」
「言ったろ、大殿さんは変なヤツを送るようなことはしねーって。それにまだ電話で話したくらいだが、好青年ってのが伝わってきたし何かありゃ遠慮なく自分に言ってくれりゃいいって言ってくれたからな。だから何かあっても大丈夫だ・・・だから俺の事は気にせず、お前は新一と二人で暮らしていけよ。結婚した以上はお前らも子どもが欲しくないってんなら余程の理由がなきゃ人の親になることになるんだろうから、お前らはお前らでそういったことも見据える形でな」
「お、お父さん・・・!」
それでそんな事に関して気にするなというように言う小五郎に蘭は反論しようとしたが、気にせず親になることについてを言ってきたことにたまらず頬を赤くした。小五郎は女好きではあるとは知っているが蘭に下ネタを振ることは無かったこともあるが、茶化すような響きなど一切無かったのもあってだ。






・・・それで少しして新一と蘭は落ち着いた後、何かあれば話は聞くからと言った上で住みかを後にしていった。
「・・・やっと行ったか。あいつらからすりゃ善意でどうにかみたいに言ってたんだろうが、もうあいつらに関わる気なんて俺にはねーからほっといてくれた方が嬉しいんだがな・・・」
そうして二人を見送った後で一人になった小五郎は、冷めた声と顔でやれやれと首を横に振った。新一だけでなく蘭にも最早気持ちはないというように。






・・・小五郎の中で蘭に対する気持ちが無くなっていったのは五年少し程前に新一が元の体に戻ってから帰ってきた後に、蘭が大殿や小五郎の母親が危惧したことについてを全く考えることなく新一との交流を以前の分も取り返すよう、前より多くしていったことにあった。

これに関して『江戸川コナン』を追い出す際に小五郎の母親から新一の事もあるからというように言った筈なのに、それを全く気にした様子など見せないどころかむしろ昔より距離を詰めていく姿もそうだが、新一が戻ってきて一緒にいる際に事件と出会うことが度々あったのだが・・・それらについてを小五郎は何回か注意をしていったのだが、自分が望んで事件に出会っている訳じゃないというのと共にその危険性についてを重要視していない姿・・・そして最もなポイントとしてそれらを踏まえても新一と別れることなんて微塵も考えていないといった気持ちを感じ取ったことで、小五郎ももう諦めざるを得なかったのだ。もう蘭をどうにか新一や事件と関わるのを辞めるように説得することなど出来ないと見るしかないと。

そしてそれらについては自身の母親もそうだが、大殿にも報告の連絡をした。一応将来的に可能性がない事もないとは言えないが、新一との結婚は今のままならほぼ確実になるだろうからもうそうなったなら蘭の事は諦める上で、養子縁組の事についてを進めるようにして欲しいと。その言葉に小五郎の母親も苦いといった様子で理解したと返し、大殿もまた分かったよとその後の対応をすることを約束した。

そんな風に二人との連絡を終えた小五郎だが、それでもまだ新一と結婚しないという一縷の望みがないわけではないという希望があった・・・しかしその希望を思い切り打ち砕いたのもまた、蘭であった。









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