危機感の喪失に対する対処(後日譚)

志保との関係は大殿との事があってから組織の壊滅に至るまで、ほとんど連絡をして話をするようなことはその間はなかった。それは下手に志保の機嫌を損ねてどこかに行かれるような事をしたくないと思うと共に、何度にも渡る言い合いに念には念を入れるようにと強く言ってきた志保と気楽に話をしようという気持ちにならなかったためだ。

だが組織の壊滅に至った上で薬のデータが手に入ったことからこれで元に戻れる薬を作ってもらえると思うと同時に、そういった過去のいざこざに関してはもう水に流して元のように仲良くやろうというように考えながら志保に会いに行った・・・ただそういったように軽く仲直りしようといった気持ちの新一に対し、志保はしばらく薬の研究に集中するために時間を取るからこちらから連絡するまで待機していてと素っ気なく返し、新一を肩透かしさせると共に仕方無いと引くしかなかった。解毒薬を作れるのは志保しかおらず、下手に邪魔をしても元に戻るための時間が遅れるだけだと思い。

それで仕方無くしばらくの時間を待って志保から薬が出来たと連絡が入り、すぐさまに阿笠邸に向かって一応薬を飲むことによるリスクが全く無い訳ではないと聞かされたが元に戻れるなら飲むと躊躇わずに返し・・・そうして元の体に戻ると共に時間の経過で再び小さくなるという事がないかの経過の観察をした上で、一週間後にこれならもう完全に大丈夫だと志保からオーケーが出たということから新一は心底から喜んだ。これで元の生活に本当の意味で戻れるのだという喜びに浸る形でだ。

しかしその中で志保が自分も薬を飲むけれど、経過観察の間は来ないでと言われた事に新一は仕方無いと引くしかなかった。志保は新一と違い女性の身であることに薬を飲むという事からその瞬間を確認するのもだが、薬に不備があってまた体が小さくなってしまえばその体を見ることになる・・・というもしもの事態を避けるためだ。

だから新一は元の体に戻ったことから一先ず元の生活に慣れる事を念頭に動いていって、少し志保の事を頭の片隅に置いて過ごしていくのだが・・・自分と同じ一週間という時間が経っても連絡が来なかった事に新一は不審に思って阿笠の元に行くのだが、そこで表情を気まずげに歪めながら阿笠は返した・・・もう志保は内密にこの家を出てFBIの元に行ってしまった、と。

そんなまさかの言葉を聞いて聞いてないだとか、どういうことかと新一は怒りを浮かべながら阿笠に問い質すのだが・・・それらを言わなかったというか言えなかった理由は、元々志保は薬を作り終わったならここを出る予定でいたけれどそれを言ったら新一が止めに入ってくることが目に見えたから、その事を言うのは止めてくれと言われたからだと阿笠は返した。

だが新一はそれで止めに入るのは当然だろうと言うと共に、何故博士はその考えを聞いてその通りにしたのかと強く詰め寄ったのだが・・・勿論自分もここにいればいいと言ったが『灰原哀』がいなくなった後に自分が当然のような形でここにいたら、歩美ちゃん達にどういうことかと見られたり色々聞かれることもだが、そこで下手に新一のように親戚だから似ているのもそうだがそれで入れ替わりの形で何で博士の家に来たかだとか・・・様々に指摘が向けられると共に最悪な可能性として『灰原哀』と宮野志保の二人についてを大殿が探ったよう、不自然だからと調べられる事も有り得ると言われたからと聞いて、阿笠も否定出来ないと思ったとの返しに新一も大丈夫だろうというように返せなかった。実際大殿に指摘されてきたことは新一にとって苦い思い出として脳裏に深く刻み込まれている上で、確かに言われてみれば『灰原哀』と宮野志保の関係やら設定を作りすぎることに博士の家に入れ替りで入るような形にするのは、大殿のような人物から見たら怪しいと思うと共に調べられたらまずいことになりかねないと感じてしまい。









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