危機感の喪失に対する対処(裏)

「そう承知してくれるのはありがたいが・・・ただこんなことを私も言いたくないし小五郎も考えているだろうが、やはり蘭ちゃんがどうしてもこちらに同意してくれないだろうということがね・・・」
「・・・それはもう、仕方無いと思うしかないと思っています・・・コナンをウチから出さないといけないと話の流れを作っても最後まであんな風にごねるような感じになっていたことを考えると、さっきの優作さん達との会話を聞いたとしたならもうここまで来たんだからいっそ全部話してくださいって言っただろうし、その中身次第というかコナンや新一の事について相当な理由だったらむしろ自分達が協力しなくてどうするのよ・・・って言い出しそうですからね・・・」
「彼女からしたら新一君達が大事だという気持ちが優先されるだろうが、コナン君の事で私達は優作氏達のことも信じられないというのもある・・・しかしそれと共に新一君とコナン君の顔が生き写しかのようにそっくりなことに、話に聞く限りでは新一君もコナン君と交流していたということにその事実を知っていたのはほぼ確実と見ていいだろう・・・それらを考えれば新一君も私達は信じられないとなるが、蘭ちゃんはだからこそ私達の逆を取るように自分が新一達を信じないでどうするかだとか言い出しかねない可能性が高いと君は言い、私達もそんな蘭ちゃんの行動からなし崩しに巻き込まれる可能性もまた高いとなる・・・そうなるくらいなら私達のやることを何も知らせずに蚊屋の外にいさせるべきだと考えたから、こうも回りくどい手段を取ることになったからね・・・」
ただと大殿はそこで話題を蘭の方に行かせるのだが、小五郎共々なんとも言いがたいといった様子を滲ませる。






・・・そもそもからして今回の問題の大元が何かと言えば、蘭や小五郎を事件から遠ざけるようにしてほしいと小五郎の母親が大殿に解決を願ったものからだった。ただ大殿は話をその後に小五郎から聞いていったのもあって、解決手段を任せてもらうのもそうだが出来る限りはどうにかするようには頑張りこそはするものの、将来的に新一と結婚する可能性が高い蘭との距離については確実に考えなければならないとも小五郎の母親に告げた。

これに関しては蘭は女性であると共に小五郎の後を継ぐ探偵だったり会社員だとかの職に就くような性格ではなく、新一以外の男の気配など無くて他の誰かに嫁ぐような様子など今の様子から見えないということから、将来的には余程でなければ二人は付き合った上で結婚して蘭は新一の元に嫁ぐことになるだろう・・・そういった小五郎の言葉を伝えた上で、それを止めるような事をすればそれこそ蘭との仲に関しては修復不可能な事になりかねない為、新一と結婚となったならもうそこは大人だからということで呑み込むしかない・・・そう途中経過と共にそのことを電話越しに伝えると、小五郎の母親もそれは仕方無いと諦めたように漏らすしかなかった。大殿に頼んだのは小五郎達を事件に巻き込まれなくすることや探偵を続けることを考えさせてどうにかすることであって、蘭を是が非でも新一と別れさせることや将来的に絶対に結婚させないようにすることではないし・・・その時にそう選ぶのであれば、もう蘭の意志で選んだことなのだから小五郎を巻き込んでくれなければそれでいいと思うようにすると。

そういうように認知してもらった大殿は自分がやれるだけのことはやると言った上で、どうにかすると告げて電話を終えるのだが・・・小五郎も交えて話をすればするほど、蘭が素直にこちらの言うことに従うか同意してくれる可能性が低いということを改めて認識していった。主にコナン達への同情心やら小五郎の母親との折り合いの悪さからだ。

だからこそ大殿は蘭に対して率直にこうしてほしいと願うのではなく、敢えて選択の余地があるようにといったような言い方をするが、その実としてこう考えるのが正しいのだというように誘導していくのが遠回りだがいい方法だと考えたのである。










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