危機感の喪失に対する対処(裏)

「・・・正直に言うなら、私としては貴殿方にどういうことかと理由を問い詰めていきたいという気持ちはあります。ですがこの場に来たのはそうした理由を聞くためにではなく、分かりやすく言うなら・・・もうコナン君を小五郎達の元に近付けないでくれと言うためです。この事を言わない代わりに、そうしてくれとね」
「っ、そこまでするというのですか・・・?」
「そこまでと言いますが、私からすれば破格の申し出なのですよ。何故なら」



「私の調べでコナン君やその両親についての戸籍が無いことが明らかになった・・・つまりはコナン君はどこにも存在しない子どもなのだから、そんな子どもについてを言及しないままに終わらせるのですからね」



「「「!?」」」
・・・だがそれで深く問い詰めないからといったような言葉を口にした大殿に何とか優作が反論しようとしたが、続いたコナンの戸籍が無いことを把握しているとの答えに三人はたまらず絶句してしまった・・・『江戸川コナン』としての立場というか戸籍は新一が元に戻ったなら必要ないと思って何もしなかったのだが、そこについてを大殿が知ったのだということに驚愕し。
「・・・元々は私もそんなことをするつもりはなかったんですが、阿笠邸からコナン君が貴殿方に連れられていった事にそうして嘘をついた理由が何なのかもそうですし、何よりそんなコナン君も含めた江戸川家はどういった存在なのか・・・その事を急遽調べてみたんですよ。貴殿方も含めてあまりにも怪しいと見てね」
「そ、そんなことが出来たというのですか・・・?」
「一応私もそれなりのツテを持っていますからね。というより後の展開の為にもお話しますが、実は私が阿笠邸を見張ってたのではなく私の血縁者が阿笠邸を見張っていた上で、そういった報告があったから私はその血縁者に貴殿方の追跡を頼んだ上でコナン君の事を調べる時間を取り・・・翌日になった今日に来たというわけです」
「「「っ・・・!」」」
ただと自身からしても不本意な事だといったように知ったと話す大殿に優作は唖然としたように声を漏らすが、更に続いたまさかの発言に三人はまた愕然としたような顔を浮かべた。と言っても事実を知られたことにということより、血縁者という単語が出てきたことにだ。






・・・何故血縁者という単語にそんな反応を示したのかと言えば、説得により大殿をどうにか説得することもだが三人からすれば選択肢として有り得ないが、それでも最後の選択肢として考えられた大殿を捕縛して連れていくとか殺害して終わらせるといった、有無を言わさずの口封じが出来ないと考えざるを得ないからだ。

これは大殿が一人だけならまだ何とかなったかもしれないが、その血縁者・・・言うならば協力している存在がいることにより、下手な行動を取って大殿をどうにかしてその協力者に異常を知られた場合、新一達の立場だったり行動が一気にまずい方向に向かいかねない事になる。それこそ『江戸川コナン』の戸籍がないことだったり、大殿にやったことを白日に晒されたなら優作達も含めて今の立場やら何もかもが壊れてしまうことになりかねないのは明白だ。そしてこの状況で更に厄介なのは、その協力者が姿を見せていないことにある。

まだこの場に大殿と共に姿を現していたなら新一達も説得なり無理矢理の対処もやりたくなくても出来たかもしれないが、その協力者がいることを考えれば下手な対処は却って悪手にしかならないというのが新一達三人も、言葉にしてこそはいないが共通して感じたからだ。そしてだからこそ後の展開の為と言われたのだと理解したのである・・・下手に今大殿に何かしようとすることもだが、この後の会話の主導権を握る事は許されないのだと。









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