危機感の喪失に対する対処(裏)

「・・・そういうわけだけど、そもそも私だけがここに残ることにしたのは工藤君と一緒に学校を後にしても変なことになる可能性があるから怪しまれない為だったり、彼の後始末をするため・・・それなのに彼のワガママでまた色々とやり直すような事をするのは面倒なことになりかねないのよ?」
「う、うぅむ・・・確かにそれを言われるとのう・・・」
ただ灰原は気持ちだけではないというように後始末についてを口にすると、阿笠もそうだったというように漏らす。






・・・新一が場を離れて灰原が阿笠の家に残るのは、二人揃って米花町から離れてというのは様々な面から良くないとなったからだ。学校を始めとした残された者達に対しての体裁だったりもあるが、新一と灰原の二人の潜伏先を同時に変えるなら出てくる問題として保護者役の存在が複数必要だと考えられたからだ。

新一と灰原の二人は将来的にイケメンに美女というように顔が整ったままに育つだろうとは共通で見られてはいるが、だからと言って血の繋がりを感じさせるように顔が似ているということはない上に、共に小学生生活を送る中で遠い親戚だというような事を設定として盛り込んだ話もしたこともない・・・故にまだ新一は最低有希子だけでも手を借りればどこか別の場所に入り込むのは然程難しくはないが、灰原までもとなれば一緒に住むのは周りの目もあって厳しいことになりかねない可能性も無いとは言えない。

そういったもしもの懸念を考えると共に灰原に新一が求める役目は元に戻れる薬を作ってもらうこともそうだが、事件が起きた際にいざというときの外部からの情報収集役といったよう基本的にはサポート役がメインである。その為に話し合った結果として灰原は下手に新一に付いていくよりもこのまま阿笠の所にいて、何かあるかに薬の情報を持ち帰る事が出来ればその時に連絡する・・・というようになったのだ。その方が変に二人が一緒にいるよりはいいだろうと。






「だからもうこの事に関してはこれからは蒸し返すのは無しにして。一応工藤君は米花町からどれだけかはまだ分からないにしても離れることにしたんだし、歩美ちゃん達に今のような姿だったりを見せて心配をかけたり何かあるんじゃみたいなことから、工藤君に会いに行きたいと言われると厄介な事になりかねないわよ」
「っ・・・だからもうわしもいい加減気を取り直せであったり、考えをまとめて動けと言うんじゃな・・・分かった、もうわしも吹っ切るようにしよう・・・」
だからこそこの話を終わらせるべき・・・そう学校で出会った歩美達のことも併せて話す灰原に、阿笠も流石にそこを突かれてはというように息を詰まらせた上でとうとう諦める形で頷いた。新一や灰原とは違い裏に事情など一切抱えていない正真正銘の子どもである歩美達に対し、先程までの話もあってもう下手に新一のやることに巻き込むこともだが、子ども特有の好奇心から突っ込んで巻き込まれる可能性も有り得るというのを理解して・・・


















・・・そんな風に灰原と阿笠が新一がいなくなっても新一に関することを話し合っている中、その当人は優作に有希子の二人に励まされつつ二人が密かに取っていたホテルに連れていかれた。この密かにというのは優作が世界的に売れっ子の小説家であり帰ってきていることがバレることを避けるためである。下手に情報が出回れば何故新一というか『江戸川コナン』と一緒にいるのかということが小五郎達にも知られる事になりかねなく、そこで何でコナンの両親じゃなくあんたらと共にいるんだと聞かれるような事態になった場合を考えると面倒だった為に。

それで隠れるようにホテルに入った三人だが、その後は新一に関して落ち着く時間があった方がいいということから話はすることなく一眠りして朝になってから話そうとなり、新一は不満そうにしていたがそれでも時間が時間であることからもう自分達も休むと言われたことにより、かなり渋々といったように新一は引いてベッドに入った。ただ最初はブツブツと小さく呟いていたが意外とすぐに新一は眠りについた・・・この辺りは新一は自覚していなかったが、灰原の事から精神的にも肉体的にも疲れが蓄積していた事が理由であった。

それで翌朝になって新一が目覚めた後、ルームサービスによる朝食を取った後に改めて三人は向かい合うことにした。









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