危機感の喪失に対する対処(裏)

「あ、哀ちゃん・・・そ、それは流石に言い過ぎじゃ・・・」
「言い過ぎと言えないどころか、むしろこの問題に関しては有希子さんだけでなく優作さんや博士にも関わってくる問題よ・・・何せ三人は工藤君の事を知った上でその工藤君の為、おじさんに何も言わないままに済ませてきたのよ。それも今回のような事が起きても、ろくに対策を取らないままに工藤君がこうしたいからそのままでいいというようにね・・・そんな三人が工藤君の擁護をしようとした所でこう言われるのがオチよ。『お前達の子どもが自分の息子達を利用する事を止めなかったどころか、むしろ見守って手伝ってきた奴らが何を言うのか』・・・とね」
「「「っ!?」」」
だが有希子が流石にというように話に入ってくるが、灰原が三人も無関係でないと鮮烈に指し示す事を返すと優作達も一斉に驚愕を浮かべた・・・どう言葉で飾ろうが優作達、特に阿笠は小五郎の元に入り込むのを推奨して何も言わずに手伝ってきたのは事実な為に。
「そ、それはその・・・俺が引かなかったから・・・」
「貴方のせいは前提からして勿論だけれど、親や保護者として貴方を止めないどころか助けてきた・・・そしておじさんに何も言わなかったのは、間違いなくおばあさんからすれば優作さん達に怒りを抱くには十分な案件よ。自分がそう言ったからで責任は自分だけのものと言う事にしたいというのは、おばあさんの立場からしたらとても通る道理ではないわ」
「うっ・・・」
新一がそんな姿に自分のせいだと何とか言おうとするが、またもや返ってきた灰原からの道理の通った返答にすぐに悔しげにうつむいて終わる。あくまで責任は自分にあると言うことが出来ないのが新一にも分かった為に。
「・・・もうここまで来たら分かるでしょう?貴方がこれまで散々言っていたおじさんの元にいたいという気持ちを持ち続けて、そうすることに関してはもう望まれる物ではないことは。そしておばあさん以外にもまだ残らない方がいいと言える理由として、決して大袈裟とは言えない理由としてもしおばあさんを後で説得すればいいからとおじさんの元にずっと居続けて、体が元に戻ったし組織も潰せたからこうだったので自分達が悪かったからおじさん達と仲を戻してくれと言いに行ったとしたら・・・そんなことを易々と許せないおばあさんと、新一達がやったことは事情があったんだから許してやってと言いかねない毛利さんとの争いが起きかねない事よ」
「「「「っ!?」」」」
だがそうした反応を見た上で更なる問題は蘭にある・・・そういった事を口にした灰原に他の面々は一斉に目を丸く見開いた。そんなことを考え付いてもいなかったという様子が見えるよう。
「・・・これに関しては私も絶対にそうなると思っているわけではないわ。けれど元々事件に出会すことに難色を示していたおばあさんと、そんなおばあさんの言うことを聞かずに折り合いが悪かった毛利さん・・・おばあさんが工藤君のやってきたことを責め立てるようなことを言った場合、毛利さんが折り合いが悪かったからということや工藤君がやったことを否定することを許さないという考えから、おばあさんと衝動的に言い合いになる可能性は決して有り得ないと言いきれないと思うわよ。そしてそんなことになったらもう二度とおばあさんと毛利さんの仲直りは出来なくなるどころか、関係の断絶は一生続くことになるでしょうね・・・そうなった時の毛利さんが自分から頭を下げてごめんなさいなんておばあさん側に謝りに行くなんていうのは想像出来ないし、おばあさん側としたら元々大殿さんが言っていた事もあって、もうそこまで行くんなら後は勝手にしろとなるでしょうしね」
「・・・そしてそうなったらもう二人というか、毛利さん達とその親戚の関係の修復は不可能になってしまう可能性は極めて高くなる・・・そういったことも考えれば、新一はもう戻ることは諦めた方がいいと君は言っているのだね・・・」
「えぇ、そういうことよ。気持ちとして諦められないというのはもういいけれど、せめて理屈としてそうした方がいいというようにして不満を押し込める事も含めてね」
「うぅっ・・・」
ただと前置きはするが決して安穏と考えられる物ではないと言い切る様子に優作も理解をする中、皮肉を盛大に込めたような冷めた声と目を向ける灰原に新一は反論出来ずにくぐもった声を漏らすしか出来なかった。ここまで来てしまえばもう嫌でも新一も灰原の言うことが間違っているとは言えない領域にあると理解したために。









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