・・・新一が自分の家から離れたと阿笠が小五郎に連絡をした時から、時間は少し遡り場面は阿笠の家の中になる・・・


















「灰原・・・っ！」
「・・・この数日で何度も言ってきたじゃない。毛利さんのおばあさんの気持ちは身内として考えると良く分かるけれど、貴方は結局自分の都合だけで動こうとしたいだけだと。それなのにおばあさんの気持ちを考えないのもそうだけど、こうしてお父さん達に迎えに来てもらってまでいるのに毛利家に戻りたいし探偵に戻ってほしいって言い続けるのはみっともないって・・・！」
「あ、哀ちゃん・・・新一・・・」
「「っ・・・」」
・・・阿笠邸のリビングにて。新一と灰原の二人は強い怒りの感情と言葉をぶつけあいながらにらみ合い、隣の阿笠はオロオロとして優作に有希子の二人も複雑そうな表情を浮かべていた。






・・・新一と灰原が何をしているのかと言えば、毛利家から出ることになったから阿笠邸に泊めてくれという流れから泊まるようになって、学校で話し掛けてきた新一の気持ちや考えに対しての灰原の毛利家の祖母に寄った言葉に新一が言い分は分かるが・・・というように灰原に返していったことから度々行われてきた、話し合いという名の口喧嘩である。

これは話を聞いた灰原としては新一の言葉はあくまで新一の気持ちだけしかない上に、祖母や大殿達の気持ちを考えてない物だったことを指摘した上でもう気持ちを切り替えて諦めたらどうかと言ったのだが・・・熱くなっていた新一は気持ちは分かるがと前置きはしても、結局は自分の思うようになってくれないことに対しての不満を口にしていったのである。

そんな反応に祖母や大殿達がそこまでしたくなる気持ちは分かると身内を心配する考えに理解を示した灰原が色々と言っていくが、それで引かない新一は強く灰原と言い合いになっていき・・・この数日で何度も同じような話し合いをする中で二人の仲は急激に悪くなっていき、優作達が来た時にもう一度その話になって三人を戸惑わせているというわけである。






「お、落ち着いて哀ちゃん・・・」
「落ち着いて？だったら聞くけれど、有希子さんはおばあさんの気持ちは分からないのかしら？自分の子どもや孫が死ぬかもしれないと心配する気持ちに、もうそうならないようになってほしいという気持ちは」
「そ、それは・・・」
そこでようやく有希子が苦笑気味に止めに入るのだが、すぐさま鋭い視線と共に返ってきた問い掛けの言葉に気まずげに視線を背ける。
「というか有希子さんもそうだけど、優作さんや博士も考えなかったのかしら？毛利さんのおばあさんが話に聞いたような事を思っているんじゃないかみたいに」
「そ、それは・・・確かに新ちゃんが元々この体だった頃よりもうちょっと育っていたくらいの頃は、何度も新ちゃんに注意してほしいって言われたことはあるけれど・・・大丈夫ですよ新ちゃんに蘭ちゃんはって返していってたら、もう何も言われなくなった上で顔を見ることも無くなっていったわ・・・だから私は小五郎ちゃんのお母さんは納得してくれたんだって思い込んでいたの・・・」
「だが実態は逆で、蘭ちゃんが話に聞いたような態度だった上で私達が軽い気持ちしか持たずそんな風にちゃんと取り合わなかったから、私達は役に立たないと見切られたんだろう・・・子どものやることだからとか何だかんだで大丈夫でしょうというようにしか言わなかった事からね・・・」
「わしは正直前もそこまで会っておらんかったから何とも言いようがないが、それでもこの数日で哀ちゃんに新一のやり取りに関しても併せて言わせてもらうならば・・・わしらは危機感に関しての感覚が普通の人達とズレてしまっていたから、今回のような事になったのではと思うんじゃよ・・・」
「・・・危機感の感覚が、ズレる？」
そのまま灰原が有希子だけでなく優作に阿笠へもどうかと鋭く問い掛けを向けると、夫婦二人が気まずそうな様子で返した後に阿笠が口にした言葉に新一がどういうことかと眉を寄せるが・・・そんな何も分かってないといった様子に灰原の眉間には盛大にシワが寄っていた。









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