いつかを変えることの代償 終幕(後編)
・・・高遠のマジックショー。それは圧巻のマジックショーであった。親の近宮とは違い華麗で明るく華やかと言うような物ではなく、むしろ真逆の冷たさを覚えるかのような物であった。しかしその冷たさは悪いものとして見られるような物ではなく、言うなれば高遠が醸し出す魔性の空気なのだ。
触れれば凍って動けなくなるのではと錯覚させるような危険さを孕みながらも、美しいと思わせ近付きたいと感じさせるような魅力が多大に含まれた空気・・・そんな空気を振り撒きながらマジックを行うタキシード姿の高遠は、観客の目を大いに釘付けにした。
そして高遠の出番が終わり、頭を下げた後に舞台の袖に戻るその姿に小五郎達も含めた観客達はスタンディングオベーションにて雨のような拍手を盛大に高遠に送った。初のステージで前座という扱いではあるが、新人離れした魅力をこれでもかと見せ付けた高遠の実力を讃えるように。
・・・それで残りのメンバーが行うマジックを見終わった小五郎と明智は話していた通りに食事に向かおうとしていたのだが、そこでとある人物と出会った・・・
「・・・さて、料理も来ましたし話をしていただいて構いませんよ・・・工藤優作さん」
「・・・あぁ、すまない・・・」
・・・小五郎と明智が会う際に話す場所として恒例となっている居酒屋。そこで横並びになる小五郎と明智の前に座る人物・・・新一の親である工藤優作は、明智のどこかトゲを感じさせる勧めに複雑そうに頷く。そして隣にいる小五郎はどうも居心地が悪そうである、その明知の滲ませる空気を感じて。
・・・マジックショーの会場から出た二人の元に現れたのは、優作であった。
その時に小五郎が何故と驚くより前に明智は優作に逆行していることを問い質し、優作もその事実を認めた。自分も逆行者だと。
小五郎はその事実に驚いたが、それ以上に驚いたのは明智がそこから一気にピリついた空気を滲ませ出した事だ。普段自分と会う明智は穏やかで、そんな不機嫌になるような存在ではないと思っていたために。
しかしその理由を明らかにしないまま店へと進む明智に、強くそうなっている理由を聞けない小五郎は気が重そうな優作の後ろ姿を見ながら最後尾で店まで黙って向かっていった。
「・・・まずお聞きしたいのだが、何故貴方はそこまで私に対して攻撃的な視線を向けているのだろうか?私は貴方に会ったことはなく、何か取り立てて失礼なことをした記憶もないのだが・・・」
「・・・えぇ、貴方に何かされたことはありませんよ。ですが私が気に入らないのは貴方が親として、行うべき事を行っていない事です」
「・・・親として・・・?」
優作は居心地悪そうにしながらもまずは明智の態度の理由を率直に聞くが、その答えに優作は首を傾げる。
「・・・その様子では親として間違ったことはしていないといった考えを持っているようですが、貴方は考えましたか?何故毛利さんがこちらにいるのかに、妃さんの夫にならなかったのかについてを」
「それは・・・・・・」
「・・・年の事も加えて工藤君より優秀で頭のいい方とは思えぬ反応ですね。それとも以前の事は毛利さんにとって大したことではないと考えていたのでしょうか?息子さんが組織との戦いに巻き込んでしまったこともそうですが、その息子夫婦が離婚にまで至った事までもが」
「・・・っ!」
「・・・どうやら少しは何かしらを感じる所があったみたいですね」
その反応にじわりじわりと圧力を強めて話を進めていく中で優作がハッとしたように反応し、明智は呆れたように言葉を更に紡いでいく。
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触れれば凍って動けなくなるのではと錯覚させるような危険さを孕みながらも、美しいと思わせ近付きたいと感じさせるような魅力が多大に含まれた空気・・・そんな空気を振り撒きながらマジックを行うタキシード姿の高遠は、観客の目を大いに釘付けにした。
そして高遠の出番が終わり、頭を下げた後に舞台の袖に戻るその姿に小五郎達も含めた観客達はスタンディングオベーションにて雨のような拍手を盛大に高遠に送った。初のステージで前座という扱いではあるが、新人離れした魅力をこれでもかと見せ付けた高遠の実力を讃えるように。
・・・それで残りのメンバーが行うマジックを見終わった小五郎と明智は話していた通りに食事に向かおうとしていたのだが、そこでとある人物と出会った・・・
「・・・さて、料理も来ましたし話をしていただいて構いませんよ・・・工藤優作さん」
「・・・あぁ、すまない・・・」
・・・小五郎と明智が会う際に話す場所として恒例となっている居酒屋。そこで横並びになる小五郎と明智の前に座る人物・・・新一の親である工藤優作は、明智のどこかトゲを感じさせる勧めに複雑そうに頷く。そして隣にいる小五郎はどうも居心地が悪そうである、その明知の滲ませる空気を感じて。
・・・マジックショーの会場から出た二人の元に現れたのは、優作であった。
その時に小五郎が何故と驚くより前に明智は優作に逆行していることを問い質し、優作もその事実を認めた。自分も逆行者だと。
小五郎はその事実に驚いたが、それ以上に驚いたのは明智がそこから一気にピリついた空気を滲ませ出した事だ。普段自分と会う明智は穏やかで、そんな不機嫌になるような存在ではないと思っていたために。
しかしその理由を明らかにしないまま店へと進む明智に、強くそうなっている理由を聞けない小五郎は気が重そうな優作の後ろ姿を見ながら最後尾で店まで黙って向かっていった。
「・・・まずお聞きしたいのだが、何故貴方はそこまで私に対して攻撃的な視線を向けているのだろうか?私は貴方に会ったことはなく、何か取り立てて失礼なことをした記憶もないのだが・・・」
「・・・えぇ、貴方に何かされたことはありませんよ。ですが私が気に入らないのは貴方が親として、行うべき事を行っていない事です」
「・・・親として・・・?」
優作は居心地悪そうにしながらもまずは明智の態度の理由を率直に聞くが、その答えに優作は首を傾げる。
「・・・その様子では親として間違ったことはしていないといった考えを持っているようですが、貴方は考えましたか?何故毛利さんがこちらにいるのかに、妃さんの夫にならなかったのかについてを」
「それは・・・・・・」
「・・・年の事も加えて工藤君より優秀で頭のいい方とは思えぬ反応ですね。それとも以前の事は毛利さんにとって大したことではないと考えていたのでしょうか?息子さんが組織との戦いに巻き込んでしまったこともそうですが、その息子夫婦が離婚にまで至った事までもが」
「・・・っ!」
「・・・どうやら少しは何かしらを感じる所があったみたいですね」
その反応にじわりじわりと圧力を強めて話を進めていく中で優作がハッとしたように反応し、明智は呆れたように言葉を更に紡いでいく。
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