危機感の喪失に対する対処(表)

「・・・確かに言われてみればそういったことを考えたことはなかったけれど・・・二人はそんな話もそうだけど、そもそもコナン君が両親と連絡を取ってるのかを見たり聞いたことはないのかしら?」
「う、ううん・・・確かにそう言われてみるとコナン君から両親と連絡しあってるなんて聞いたことないし、そんな素振りなんか一回も見たことないよ・・・」
「俺もだ・・・つーか文代さんが俺にもう一度この子をお願いしますっつってから一度も連絡もそうだし、顔を見せにも来てねーな・・・いくら仕事が忙しいっつったってちょっとくらい時間はあってもいいはずなのによ・・・」
「っ・・・!」
それで出てきた疑問は伝染していき英理から口にされた言葉に蘭も小五郎も不可解だと言う顔と声になり、新一はたまらずに口元をひきつらせるしかなかった。指摘をされないからこそ連絡が来たというフリすらしなかった事が、ここに来て大きく作用してきたことに。
「・・・どうやら君の反応から見て、両親と連絡をしたりされたりといったことは無かったようだね。毛利家に親から預けられてから今日になるまでに一度も・・・」
「ぅっ・・・」
そしてそうなった原因の大本となった大殿はその反応を見て何とも言いがたそうな目と声を向け、新一は小さく苦そうに声を漏らすしか出来なかった。今更そんなことなどないと子どもらしく嘘をつくにはもうあまりにも遅すぎるというか、そうしようとしても誤魔化すには証拠も何もなかった事を理解してだ。
「・・・その事に関して何故と問い詰めるのは他人の家庭の事情に首を突っ込むのは良くないというように言われるかもしれないし、人様のやり方に口を出すなと言われるかもしれない。だがそういうことを言うというならば小五郎達の元に居候をしている君と、居候させてくださいと願った君の家族は今のこの件に関して当事者なのか他人にあたるのかどちらなんだい?」
「ど、どちらって・・・」
「君が小五郎達に大丈夫とまくし立ててきたことに関して、君としては小五郎に探偵を辞めてほしくないというのが本音なのだろう。しかしこうして別居中の英理さんの元に来てまで話をするとなったのはまだ離婚していない小五郎の奥さんという立場上、決して全くの無関係と言えない当事者という話になるからだが・・・君は居候だからということで当事者だから意見を言いたいという気持ちはあるかもしれない。しかし君の年齢や歳格好もそうだが、そうやって自分も当事者だというのなら君の親にも実際にこちらに顔を見せるだったり、話をしてもらわねばならないのではないかと思うんだよ。少なくとも私はそうしなければならないというか、忙しいなどという言い訳で直に会いもしないし電話だけで済ませる・・・もしくは連絡すら取れないから自分はおじさんに探偵を続けてほしいが総意でいいだろうと言うのであれば、小五郎達がどちらを結論として選ぶにせよ君の事を毛利家には置かないようにと私は進めさせてもらう。それこそ探偵を続けるといった場合の処置以上の事をするのも含めてだ」
「っ!?」
だが尚も話を続けていく大殿だが今までの柔和な空気が無くなっていった上で真剣な処置についてを口にしたことに、新一は盛大に息を呑むしかなかった。大殿が本気でそうしようとしていると理解したこともあるが、何よりその中身があまりにも新一からして不利以外の何物でもない物でしかなかったからだ。






・・・『江戸川コナン』の親は有希子が変装したあくまで誤魔化し程度の存在でしかない。だからこそ今の大殿から出た直に会って話をしなければといった要求は、新一からすれば最悪の展開以外の何物でもなかった。それは誤魔化しの為に有希子や父の優作を呼べたとしても、大殿が言わんとする話の中身をねじ伏せることなどまず出来ないと見たが為だ。

現に今出た話の中身は小学生低学年程度の子どもが死にかけるような目に何度もあってきたのに、それを情報として全く共有していなかったことをいかがかと思うといったような中身で、更に言うならそんな話を聞いて尚もコナンがいたいと言っているのですからこれからも死ぬような目に合うかもしれませんが、是非ともよろしくお願いいたします・・・なんて事を言うような親がいたならそうしてほしいと望む新一ですら、あんたら正気かと本気で言うだろう事は間違いない案件だ。親がそんな小さな子どもの事を全く気にしてないとばかりの事が、その言葉から明らかになるのだから。

そんな馬鹿げた事を主張として押し通して済ませようとするなどいくら小五郎達でも受け入れないだろうと思ったのもそうだが、それを切り出した大殿がいる以上絶対に有り得ないと新一は感じたのだ。どうあがいても大殿は有希子達を呼べたとしても、自分にとって都合のいいような展開にしてくれるはずがないだろうと。









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