危機感の喪失に対する対処(表)

(まずい・・・明らかに話の流れがそんなことになる前に探偵を辞めた方がいいって風に傾きかけてる・・・そんなことにならないように俺がおっちゃん達を鼓舞しないと・・・!)
そんな場の空気に自身にとってまずいものを感じ取った新一は、状況打開の為に口を開こうと決意する。
「・・・あ~、済まないが少しいいかい?私から聞きたいことというか、言いたいことがあるんだが・・・」
「っ・・・」
だがそんな瞬間に大殿が頭をかきつつ声を上げたことに、新一は若干苛立たしげながらも小五郎達と共に何かと視線を向ける。
「それで、何を言いたいんですか?大殿さん」
「いや、話を聞いた時から気になっていたというか考えていたんだが・・・この場での話の結論がどうなるかに関わらずというか、探偵を続けるという選択を取るならばこそ一層にコナン君に関してはもう毛利家には置いておくのは良くないんじゃないかと思うんだ」
「なっ・・・(おいおいおいいきなり何を言いだすんだよこの人は)!?」
英理がそんな面々の代表になる形で何かと問い掛けるのだが、そこで大殿が口にした言葉に新一は驚愕と共に内心でふざけるなとばかりの声を上げていた。なんで自分が出て行かなければならないのかと。
「え、えっと・・・どうして大殿さんはコナン君はうちに置いておくのは良くないと思ったんですか・・・?」
「単純な話としてこの子もこの子で事件に巻き込まれすぎているということもだが、何度か蘭ちゃんと同じく命の危機に陥っているということからだよ。それで死ぬことが無かったのは百歩譲ってまだいいと言っていいとは言えないものだが、それで良かったとしても今後そんなことにならないとも保証が出来ないこと以上に何より・・・小五郎に蘭ちゃんと違ってコナン君は言い方は悪いが毛利家とは関係無い他人の家の子であって、彼が亡くなったとしたなら身内だけの問題で済むものではなくなるんだよ。彼を死なせるような事になってしまったら、居候をさせてその身を預かっていた小五郎達は何をしていたのかと人々から言われる形でね」
「っ!?」
蘭は不安げにどういうことかと先を促すのだが、そこで大殿が口にしていった『江戸川コナン』が死んだなら・・・の可能性についてに、蘭はハッとしながらも顔色を悪くした。居候として共に過ごした時間の長さはともかく密度のすごさから勘違いしかけていたが、『江戸川コナン』は毛利家の子ではなくあくまで他人の家の子だからこその弊害が起きる可能性を指摘されて。






・・・この辺りに関しては新一が『工藤新一』として毛利一家と接していた経験に加えて、『江戸川コナン』として小さくなった体に鈍くなっていない回る頭を駆使して子どもらしく小五郎と蘭に取り入ってきたからこその物だった。小五郎には度々仕方のないやつだみたいに言われることもあるが、それでも二人以外に『江戸川コナン』がいるのが毛利家の普通であって最早家族というものだというよう。

しかしそれはあくまで蘭に新一からの視点の物であって、大殿というろくに関り合いのなかった人物からこれまでの流れもあった分も合わせて言わせてみれば・・・聞こえは良くなかろうが所詮『江戸川コナン』は他人であって、そんな居候をしている他人の子どもが小五郎と共にいたことから事件に巻き込まれたから死んだとなれば、確実にその非難は小五郎達に向けられるだろう・・・そう予想出来ると言われてしまえば、コナンはあくまで居候ということをナチュラルに忘れかけていた蘭からすればあまりにも恐ろしい中身だったのである。

そしてその中身に戦慄する拍車をかけていたのが、昨日からの話の中身だ。百歩譲ってまだ小五郎か蘭のどちらかなら身内のことで済ませることが出来るかもしれないが、コナンが死んだなら・・・そう新たに出てきた上でコナン自身も死にかけた事は何度もあったことを思い出したからこそ、蘭も戦慄したのだ。自分達だけではなくコナンも別方向から見て危ないということが分かった為に。









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