危機感の喪失に対する対処(表)

「まぁそういうことだ・・・蘭ももうちょいしたら帰ってくるだろうから、詳しい話に関しちゃそっからだ。今ここでどうこう話す意味はねーから、取り敢えず荷物を片付けてこい」
「う、うん・・・分かった・・・」
そうして小五郎が一先ずはというように話を終わらせる流れにしたことに、新一は戸惑いながらも頷いて事務所を後にしていくしかなかった。もうどうしていいか分からないという気持ちを隠せないままに。


















・・・そうして少し時間が経って蘭が帰ってきた所で新一は複雑さを感じさせる様子であまり発言する事が出来なかったが、それでも二人が主導で話をすることは出来た。それで話の結果として言うなら新一は意外だというように驚きを隠せていなかったが、蘭はその話を神妙に受け止めてどちらかに反対といったような様子を見せなかった為である。

ただこれに関しては折り合いが悪いとはいえ祖母側からしての言葉は心配に満ちた物であったことに加えて、尚危険を承知で探偵を続けるのならもう何があっても関係の断絶をするという決意があると聞かされては、自分が本当に後少しで死んでしまった可能性があった身としては大丈夫などと言えないと思ってだ。

そして更に言うならその話を持ってきたのが折り合いが悪い祖母ではなく、親類であるとは言え蘭からすれば記憶もない頃に会った程度の大殿だったことも大きかった・・・これが祖母であったなら見知った顔であることやその性格に発言から心配していることを差し引いても言い合いになることは必至だっただろうが、実質的に初めてに等しい相手にずかずか言えるほどに蘭が厚かましくなかったこともある上で、大殿が理知的でいて静かに話をしてくることから蘭も下手に感情的になってしまうことを躊躇わせてしまったのだ。

それで蘭に一通り話をし終えた所で小五郎が明日に英理の元に話をしに行くからどうするのがいいのかということを考えるように言い、蘭が複雑そうな顔で頷いた後に上の住居に戻っていったのを確認した上で何とも言えない気持ちを新一は抱いていた・・・これからの事を考えれば新一としては小五郎に探偵を続けてもらわねばならないが、今回の件に関しては本当に蘭が後少しで死にかねなかった事を考えれば蘭がそうなるのも無理はないし、改めてそこで感じたのだ・・・自分の目的の為にまた蘭が死にかけるような目に合うのかに、そんなことにさせない状況に自分は出来るのかと。

ただそんな新一の内心はさておきと時間は進み、翌日になって英理に取り付けた約束の時間に大殿も付いていく形で小五郎達は仕事終わりの英理の事務所へと向かった。忙しい英理の事を考えれば、こちらから出向いた方が色々といいだろうとのことで。


















「・・・ある程度用向きについては伝えられてはいたけど、そういうことなのね・・・この人のお母様とはしばらく会ってはいないけれど、言っていることは理解出来たし大殿さんに来てもらってでもというのは相当本気だということは・・・」
「そういうこった・・・」
・・・それで事務所の中で英理と出会い、事のあらましについてを話し終わると確かに重要なことだというように頷いて小五郎も頷き返す。これは本当に軽く流していいことではないと。









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