危機感の喪失に対する対処(表)

「まぁ分かりやすくおふくろが大殿さんに何を言ったのかって言えばだ・・・」



「俺に探偵稼業を辞めるように説得してほしいってもんだよ」



「っ!?」
・・・だがそんな戸惑いの中で小五郎が明かした大殿が来た目的についてに、新一はハッキリ驚愕に目を見開いた。探偵稼業を辞めてほしいという言葉もだが、それが小五郎の親から出てきたとの事に。
「何でって顔してるのが丸分かりな感じだな・・・ただ俺もおふくろからそんなことを言われるとは思っちゃいなかったが、きっかけは何かって言えばこの前の事件で・・・蘭がマジでもう少しで死んでたとしか言えねー状況についてを聞いたからってことらしいんだよ・・・」
「っ!!」
そんな顔を見て小五郎が話を続けるのだが、後半で自身も苦い思いを抱いているといった様子で語るきっかけに新一も絶句するしかなかった。新一自身、あの時の事を出されて決して気持ちのいいことではなかった為に。






・・・小五郎が言った事件とは何なのかという詳細は大部分は省くが、その事件で船に乗っていた小五郎の娘である蘭は事件を引き起こした犯人と戦ったのだが、そこで蘭は海に落ちた上で体力が無くなって泳げなくなっていき・・・海の中に沈んでいってもう少ししたら本気で死んでいたという状況だった。

その時に新一達はなんとか海の上にいる蘭を見つけ出そうとしていたが、蘭が浮かび上がってくる直前まではもう蘭は死んだものだと思って周囲も含めて涙を流したものであって、奇跡的に意識を取り戻して浮かび上がってきた後も小五郎を筆頭として涙を流したものだった。本当に生きて戻ってくれて良かったと。

そしてそれで事件は終わり、一件落着と思ってこの三週間程を新一達は元の日常に戻る形で過ごしていたのであるが・・・そこに現れたのが小五郎の母親の言葉を携えてきた、大殿と言うわけである。






「ここからは私が説明するが私は住んでいる地域柄もあって、大きく取り上げられた物に限るが小五郎が事件を解決していっていることは知っていた。ただそんな小五郎と連絡を取り合うような関係ではなかったから、小五郎が活躍しているんだなというくらいに思っていたんだが・・・小五郎の母親である彼女から連絡があって、蘭ちゃんがそんなことになったと聞いてもう耐えられないと言ってきたんだよ・・・もうこのままじゃ今は生きているから良くても、いずれ本当に蘭もだけど小五郎も何らかの事件で死んじゃうんじゃないかと思うと辛くて仕方無いから、探偵を辞めるように言ってもらえないかとね」
「ま、待ってよ!ど、どうしておじさんのお母さんは蘭ねーちゃんのことを知ったの!?あの事件の事は解決したってニュースに出ても、蘭ねーちゃんのことは出てなかった筈だよ!?」
その言葉に自分が説明を引き継ぐと大殿は話し始めるが、新一は大殿にではなく小五郎におかしいと慌てて問い掛ける。何故事情を知っているのかと。
「あの事件に関してっつーか俺が事件を解決したってことをニュースで知ると、全部が全部って訳じゃねーがおふくろは俺に連絡してくるんだよ。本当に大丈夫だったのかとか、事件の事についてを聞いてくる形でな」
「そ、そんな電話をしてるところなんておじさん見せてこなかったじゃん!」
「それは蘭に電話が来てるってことを悟らせねーように学校のある平日の昼にしてくるからだよ。前はまだ事件に巻き込まれたって時は普通に電話してきたりこっちに来たりしてきたんだが、蘭がそんなおふくろの心配を嫌がるっつーか怒ったことからおふくろ達はこっちに来ることもなくなって、蘭に電話されてるってことを悟らせねーように電話をしてきてんだ」
「お、怒ったって蘭ねーちゃんはなんで怒ったの・・・?」
「・・・何度も何度も事件に巻き込まれたり危ない目にあってるんだから、新一との距離を改めろって言われたからだよ。事件にもそうだし危ない目にあったのは否定は出来ないけど、新一のせいじゃないのをなんで分かってくれないの・・・ってな」
「っ!」
その声に答える形で小五郎は新一とどういうことなのかについてを話していくのだが、蘭が怒ったという部分についてを聞いてハッとした表情を新一は浮かべた。蘭としては新一を悪し様に言われるのを嫌がったのだろうが、祖母としての立場に気持ち・・・そして蘭は否定するが、実際に新一といることを優先しようとするからこそ何度も事件に巻き込まれたり危険な目にあってきたことは事実だった為に。









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