知りたいものを知れることが幸せに繋がるとは限らない

「多分まだ小さい頃に新一とか服部君に和葉ちゃんとかと前世の人・・・それもお父さんの気持ちを知らないままに出会ってたなら、私も光太郎達とかの事を二の次にしてたんじゃないかって思う・・・けどさっきのお父さんの話もあったし、私は光太郎達の事をどうでもいいなんて気にはならないっていうのもあるけど・・・前にも同じようなことを言ったけど、前世にこだわり続けてどうにかその考えを変えようとしないし、振り切ろうとしない貴方に私はもう付き合いたくない・・・いえ、関わりたくないの。今の貴方の中にはお父さんに私がいるから他にも誰かがいるかもしれないって思ってる部分があって、その誰かを探したいと思って一緒にいたいって考えるだろうけど、そうしようとすることに巻き込まれたらそれこそ前に言ったように遠い未来でそうならなかった時・・・光太郎達と離れてでもそうするべきだったのかっていう後悔しか生まれないと思うから・・・」
「!!」
そうして蘭が苦心はあるがそれでもそれ以上の無という苦しみになりかねない選択を避けることを口にし、新一はたまらず顔を青くするしかなかった。二度も同じようなことを言われて自身をハッキリと否定してきた蘭の決意を聞き。
「・・・こうして私達がここにいるから他にも誰かがいてそうならない可能性もあるかもしれないって、新一は言うかもしれない・・・でももう私は新一のようにみたいな気持ちを持つ人だったら仲良くする気にはなれないわ。だから誰かを見付けたとしてももう私にもそうだし、お父さんにも話を持ち掛けないようにして。こうして私の事を尾行してきたこともそうだし、本当にお父さんに対しても申し訳無いって思ってるならね」
「そっ、それは・・・!」
「それだけ私は止めてほしいって思って言ったことだし、今回だけは尾行の事は何も言わないって事で済ませてあげる・・・でも次にどんな理由があっても私に会いに来るようなことをしたら、冗談じゃなくて本当に警察を呼ぶわよ。別れた元カレがしつこく私の元に来るってね」
「っ!」
「・・・じゃあね、新一。せめてそんなことを貴方がしないようにってことだけは本当に願っておくわ」
「っ・・・ら、ん・・・」
そして最後とばかりに蘭は立ち上がった上でこれ以上の関わりについての牽制を強い口調で口にした後、自分達の分の伝票と小五郎の金を手にした上で背中を向けてから最後の言葉を口にして立ち去っていき、新一はただ呆然として泣きそうな声で立ち上がることも出来ずに見詰めるしか出来なかった・・・最早新一には蘭を追い掛けるだけの気力も説得の材料もなかった為に・・・






「・・・新一とまたやり直すって結論は出さなかったか」
「えっ・・・お父さん・・・待ってたの・・・?」
「念のためだよ。お前らがもしまたくっついて俺にやり直そうとか言い出す可能性もねー訳じゃねーって考えて、希望に満ちたような顔をして二人揃って店から出てきたんなら、その顔を遠慮なく曇らして俺に会いたいなんて気持ちを潰そうと思ってな」
「っ・・・それだけお父さんは私達が元のようになんて事になったらって考えてたんだ・・・」
「そういうこった」
・・・そうして会計を済ませた蘭は店を出るのだが、入口の横から現れた小五郎に驚きつつも待っていた理由を聞き、複雑そうながらも納得した。本当に小五郎は二人がまた結託することを望んでいなかったからこそ、そうなった時にダメ押しにかかるつもりで待っていたのだと。









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