知りたいものを知れることが幸せに繋がるとは限らない

「・・・またやり直したいって思う気持ちだけなら分からない訳じゃないよ。私もお父さんとあそこで会った時は何で私達に話さないままに死んだのかって聞いた上で、そうしたのは間違ってたよって言って前のように親子に戻る事を考えてたから・・・けどお父さんはあんな風に思う形で、私達の事をずっと嫌って生きてきた・・・私達にそれを気付かせないようにして、関わらないようにしたいって死ぬまでその気持ちを隠し通して・・・」
「そ・・・それは・・・」
「・・・そういった話を聞いた時、私はお父さんと仲直りしたいって思った・・・けど話をしていく内にもう本当に仲直りなんて無理だって思っていったの・・・特にアニメの話から出てきた私達に対して感じてる印象とか、もうそうしたいって気持ちなんかどんなに言ってもお父さんにはないし絶対拒否されるだろうだってことは間違いないって・・・」
「っ・・・!」
だが敢えてというようにそこに振れるより小五郎に感じたことを蘭は口にしていくのだが、完全に悲痛でいて諦めを口にする様子に新一も苦い表情を浮かべる・・・諦めの悪い新一でも聞こえてきた話の中身からどうにか小五郎と元の関係に戻るなど、難しいと言わざるを得ないと感じてるというよう。
「それに聞きたいんだけどさ・・・もしお父さんと新一があんな風になる前のような感じに戻りたいってだけでそうしたいって思ってもしそう出来たとしても、その後どうしたいっていうの?私が言うなって話にもなりそうだけど、お父さんと趣味とかも合わないから話すことなんてないって思って何年も会わないままずっといたっていうのに、仲直りしたからはいおしまいみたいな事で別れて終わるなんていうのって、お父さんからしたら新一からしての自己満足の為だけにそうしたのかってなるのがオチだと思うんだけど・・・」
「ぅっ・・・」
更に蘭は仲直り出来たならという仮定をした上でどうするのかと共に後は小五郎のことを放置するんじゃないかと言われると、新一は言葉を返せずくぐもった声を漏らすしかない。
「・・・やっぱり、そうだったんだ・・・仲直りしたいって気持ちはあっても、そうなった後の事なんて新一は考えてなかったし、それで新一は許されたらもうそれで満足して終わりにしようとしてたんじゃないかっていうのは・・・」
「っ・・・!」
そんな反応を見て蘭がその心中を苦い表情を浮かべながらこうだろうと口にしていくと、驚きを浮かべつつも否定の言葉は新一の口から出てくる様子はなかった。






・・・蘭が言ったが、そもそも小五郎と新一はプライベートの時間を共にするような共通の趣味はほぼないと言っても過言ではなかった。新一が小五郎を隠れ蓑にしている時期に将棋や麻雀などで時間を潰したり共にすることはあったが、それはあくまでも共にいなければならない時にやったことであって新一は別に趣味とすることはなかったし、言ってはなんだが自分の方が実力は上だという自負があった。代表に出した二つの物でも他の物でも自分がおっちゃんに負ける筈がないと。

その為に小五郎を隠れ蓑にしなくていいとなった後には新一が小五郎と積極的に交流しようと思うような理由は無くなり、小五郎が二人を避けるようになったのを差し引いても新一から小五郎と会いに行くと言い出すような事などほぼほぼ無かった。精々が子どもが生まれたからとか休みがあるからお父さんに会いに行こうと蘭に言われたからといったような、自分から言い出すような自主的ではない理由がほとんどだった。

そういったことから考えてみれば小五郎の気持ちがあってまともな家族関係を築かなかったことを差し引いても、そもそも新一は小五郎と仲良くしようという理由がない上に交流しようという意欲もなかったのだ。小五郎が自分達を嫌う筈がないだとか、何だかんだで信頼してくれてるから何も言わないんだと勝手に思い込んでいたのも相まってである。

しかし今蘭からそういった風な事を言われた上で仲直り出来ても以降に交流する気や考えが無いんだろうと言われた時、新一には否定出来るような材料など何もなかったのである。それこそ許されたなら小五郎とはそれで終わりだし、蘭ともまた繋がりの出来るきっかけが出来ると思ってだ。だが・・・









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